立って脚を揃えたとき、膝の間に指が何本入る?

 くる病になっているかどうかの目安になるのは、乳幼児を寝かせるか立たせて脚を揃えたとき、膝の間に指が何本入るかだ。「3本以上指が入るようなら、くる病かもしれないので、小児整形外科を受診しましょう。膝の間に1~2本指が入る程度なら、ビタミンD不足が解消すれば徐々に脚がまっすぐになる可能性があります。ビタミンDを多く含む食品をとらせるように工夫したり、日光浴を積極的にさせることで、ビタミンD不足を解消しましょう」と坂本さんはアドバイスする。

こどもを寝かせるか立たせるかして、膝をそろえたとき、膝の間に指が3本以上入るようなら、くる病かどうかを確認するために小児整形外科を受診して
こどもを寝かせるか立たせるかして、膝をそろえたとき、膝の間に指が3本以上入るようなら、くる病かどうかを確認するために小児整形外科を受診して

 では、くる病などの原因になるビタミンD欠乏症を防ぐには、どのくらいを目安に、どんな方法でビタミンDを取ったらよいのだろうか。世界的なビタミンD不足を受けて、2014年に米国小児内分泌学会など11の国際機関が共同で出した指針「栄養性のくる病予防と診断・治療に関する国際的コンセンサスと勧告」(※4)では、出生直後から生後12カ月までの乳児には、母乳か粉ミルクかに関わらず、1日10㎍のビタミンDの補充を推奨している。1歳以降の小児と成人は、食事またはサプリメントで最低でも15㎍のビタミンDを取る必要があるという。

※4:J Clin Endocrinol Metab 2016;101:394-415

 「日本人の摂取基準(2015年)」のビタミンD摂取目安量を見ると、生後11カ月までは5㎍、1~2歳は2㎍、3~5歳2.5㎍、6~7歳3㎍、8~9歳3.5㎍、10~11歳4.5㎍、12~14歳5.5㎍、15~17歳6.0㎍と細かく設定されているが、「この量ではくる病の予防には不十分なのです」と坂本さん。

 ちなみに、ビタミンDが多い食材には、紅鮭(一切れ=120gで39.6㎍)、サンマ(一尾=150gで14.5㎍)、シラス(大さじ2杯=10gで6.1㎍)などがある。一般に、魚に比べると少ないものの、干しシイタケ(2枚=6gで0.8㎍)にもビタミンDは含まれる(日本食品標準成分表 2015年版)。

「母乳育児の赤ちゃんは特に、日光浴させたり、必要に応じて赤ちゃん用のビタミンDサプリメントで補ったりすることが大切です。紫外線量の少ない地域や冬生まれで母乳栄養だけの赤ちゃんは、1日10㎍のビタミンDの補充が必要だといわれています。また、母乳でも粉ミルクでも、離乳食や普通の食事ができるようになったらビタミンDを含む食品をたくさん取るようにしましょう。離乳食の時期には、シラスや煮干しを砕いておかゆに混ぜればカルシウムもしっかり取れます。きのこ類は日光に当てるとビタミンDの含有量が増えるので、1日でいいので天日干ししてから食べることをお薦めします。子どもの場合は、肝油でビタミンDを補う方法もあります。ただし、肝油は取り過ぎるとビタミンAが過剰になるので、1日2~3粒にしましょう」と坂本さん。

 ビタミンDが過剰になると高カルシウム血症になるが、坂本さんによると、食品から摂取したり日光浴によってビタミンDを合成したりしている分には、摂取過剰になる心配はないという。ビタミンDのサプリメントや肝油も1日摂取目安量を守れば大丈夫だ。