3年間でスタッフの生活はガラリと急変。働くことが与える自己肯定感

―― まさにウガンダ発のバッグを日本に広めるというビジネスの中に、アフリカの女性支援というビジョンが丁寧に組み込まれているのですね。現地企業の標準をはるかに超えた給与体制や保障制度を整えることで、女性たちの暮らしや生活に様々な変化があったのではないでしょうか。

仲本 そうですね。やはり生活費を稼ぐことも難しいという状況の中で暮らしていると、生活自体が悲壮感漂うものになってしまいがちなんです。例えば、私がこの仕事を始めるきっかけとなったナカウチ・グレースという女性ですが、最初に私が彼女の家を訪れたときは、彼女は子どもたちに十分な教育を与えられない自分をひどく責めていました。「子どもには自分のような大人になってほしくない」とまで言っていたんです。それを聞いてすごく悲しかった……。でもうちで働いてもらって3年後にもう一度彼女の家を訪れたら、その変化に驚きました。レンガが崩れかけだった家がきちんとコンクリートで補強されていて、テレビや冷蔵庫や大きな戸棚も置いてあって。

RICCI EVERYDAYを始めるきっかけとなったウガンダ人女性、ナカウチ・グレースさんと初めて出会った日(写真提供:本人)
RICCI EVERYDAYを始めるきっかけとなったウガンダ人女性、ナカウチ・グレースさんと初めて出会った日(写真提供:本人)

―― 生活を立て直せていたんですね。

仲本 子どもたちもちゃんと高等教育に進めていて、上の二人は大学に行くために政府の奨学金を受けられそう、というくらい優秀な成績を収めているそうなんです。裁判官やジャーナリストになりたい、と言っている子どもたちのことを話してくれる彼女は、本当にキラキラと輝いていました。自分の稼いだお金で家族を支えられているという自信に満ち溢れていたんです。その彼女の笑顔を見られたことが、この仕事をしてきて一番嬉しかったことですね。働くということは自分が社会の中で存在する意味を与えてくれ、自己肯定感につながるんだと彼女の姿を見てつくづく思いました。