社内も社外も、関わる人への想像力を常に働かせる

 仕事をするうえで、社内社外どちらに対しても想像力は常に大事にしています。社内ですと、先日シバジムで忘年会をやろうという話になったのですが、社員の中でミスをして、暗い気持ちの子がいたんです。しかも今年2回目。彼女は、私が奮発して高いお店に連れて行っても、「ミスしたくせにって思われているかな?」と思うかもしれない。それなら、来年に向かっていい冬休みにしましょうということで、会の前に1時間ほど今年のレビューをすることにしました。

 誰でもミスするのは当たり前、今年はテレビで取り上げていただくなどいいこともたくさんあったし、冬休みはしっかり休んで来年また頑張ろうという話をしました。年間これだけ多くのプロジェクトをやっているわけですから、スタッフに対しては、何をされたらうれしいか、何をされたら嫌か、常に考えていますね。

 とはいえ、日々20以上のプロジェクトを見ていますから、時には社員への言葉もキツくなるわけです。あっちへ怒りこっちへ怒り、気づけば一日中ずっと怒っていることも。そして、夜になって「あの怒り方はないよな……」と反省して、一人ひとりにLINEで「さっきの言い方は時間がなかったとはいえ、よくなかった。本当はこういうことを言いたかった。クライアントさんのところであなたが褒めてもらえるような提案をしたつもりだから許してね」と延々と説明するわけです。こんな話をすると、経営者仲間からは「他人にどれだけ時間を使うのか」なんて言われますけどね。

 社外の方に対しても、常に想像力を働かせています。お礼の言い方一つとっても、ただ「ありがとうございました」とは言いません。その道の一流の方にお願いをするわけですから、その方の仕事のどこを評価して、差別化するのか。「ここをこんなふうにしてくれたから、あなたにお願いしてよかったです。ありがとうございます」と言えるように、関わる人すべての仕事についての、ある程度の知識を勉強するようにしています。

環境のせいにせず、自分の責任で人生と向き合うほうが楽

 採用面接をしていると、「前の職場では〇〇でうまくいかなくて」と環境のせいにして嘆いたりする人がたまにいるのですが、私自身は一回もないんです。全部自分のせいにするのですごく疲れることもあります。でも、自分よりうまくやる人は必ずいると思っているので、自分が尊敬している人や素晴らしいと思っている人を思い浮かべて、その人ならどのタイミングで何をするだろうとシミュレーションをします。自分の責任で仕事や人生と向き合えるようになると、楽というか、余計なストレスが減るんじゃないでしょうか。

 器用貧乏なのか、成功のためには「これもしなきゃいけない、あれもしたほうが喜ばれる」と次々に思いついてしまうんです。「それは今までやったことがない」「私の仕事じゃない」と言わずに何でもやってみたい、その気持ちでここまでやってきました。そうしたら大抵のことができるようになってしまって、困っています(笑)。経営者仲間から「社内のコミュニケーション用のアプリを作ってよ」と言われて、「いやいや、アプリは作ったことないんだけど」と思ったのですが、帰りのタクシーで知り合いに連絡を取りまくってリサーチをして、半年で作り上げました。