1歳過ぎの追加接種を受けていない理由は?

 うっかり忘れや、風邪をひいて接種しそこなった経験はデュアル読者にもあるかもしれません。ファイザー株式会社でワクチンを担当する秋山淳さんによると、同社が2歳児を持つ母親2008人に行った調査では、2歳までに肺炎球菌ワクチンの初回接種を実施した人は97.8%で、ほぼすべての赤ちゃんが接種していました。しかし、追加接種を実施した人は87.2%と約10%も低い結果となったのだそう。「ワーキングマザーと専業ママを比べるとワーママのほうが2%ほど低いという結果も出ました」と秋山さん。1歳過ぎで行う追加接種は、まさに職場復帰と重なる時期。保育園での新生活や仕事と家事の両立でバタバタするデュアルファミリーにとってはハードルが高いのかもしれません。うっかり忘れてしまうという親も多そうです。

 「そこでファイザー株式会社では昨年秋から『ワクチン接種 最後を忘れちゃ、もったいない』という啓発キャンペーンを展開し、小児科などでワクチンの接種漏れ確認を呼びかけています」(秋山さん)

 子どもの健康に関わる予防接種。接種漏れは避けたいところです。「うっかり忘れ」を防ぐ方法や、接種漏れをチェックする方法を秋山さんに聞いてみると、「定期接種のワクチンであれば、接種漏れしていれば予診票(接種券)が余っているはずです。また、母子健康手帳には、子どもが生まれてからの情報が詰まっていて、予防接種の欄を見ればどのワクチンを打ち漏らしているか分かります。小児科を受診するときは母子健康手帳を持参して、ときどき『ワクチンチェックをお願いします』と聞いてみてください。医療機関によっては、受付の人やナースも確認できますし、情報提供をしてくれるはずです」。

 峯先生の周囲でも共働きファミリーが増えていて、働きながら予防接種を受けさせる大変さを実感しているそうです。「今は同時接種が可能になっているので、一度の受診で両腕、足などに数本のワクチンを接種できます。かかりつけ医と相談して上手に利用してほしいですね。混合ワクチンの開発も進んでいますから、将来は、接種の負担がさらに減るでしょう」。

 毎年3月には「子ども予防接種週間」が実施されます。職場復帰前の人はもちろん、最近母子健康手帳を開いていないなという人も、この機会に「ワクチンチェック」をしてみませんか。

職場復帰前には接種漏れがないか調べる「ワクチンチェック」もしておきたい(イメージカット)
職場復帰前には接種漏れがないか調べる「ワクチンチェック」もしておきたい(イメージカット)

 ※なお、予防接種にはメリットがある反面、副反応もあります。保護者はその点をよく理解し、不安なことは医師に相談するなどした上で、接種の判断をしてください。

(取材・文/日経DUAL編集部 イメージカット撮影/鈴木愛子)