子連れ旅行には行きたいけれど、子どもも楽しめるお出かけ先が分からない。そもそも泊まりで出かける余裕がない――。

 日々、仕事や育児で忙しいデュアル世代では、そういう向きも多いことでしょう。そこで今回は、昨年『東京発 半日旅』(ワニブックス)を上梓した旅行作家の吉田友和さんに、思い立ったらすぐ出発する、日帰り旅ならぬ“半日旅”を楽しむノウハウを教えてもらいました。前後編の2本立てインタビューです。

 前編では、旅行ビギナーでも楽しめる半日旅の魅力と楽しみ方についてお話しいただきました。後編では、必需品から心構えまで“子連れ半日旅”ならではの具体的なノウハウをお聞きします。

(日経DUAL特選シリーズ/2018年1月収録記事を再掲載します。)

荷物を常備しておけば、いつでも旅に出られる

 普段旅慣れていない人が、気楽に旅に出るための第一歩としてオススメなのが、事前に荷物をまとめておくこと。私は普段から、例えば短期旅行用のカバン、海外旅行用のスーツケースなど、旅行の種類別に荷物をある程度まとめています。そうすれば毎回カバンに入れたり、物が足りなくて買いに行ったりといった、手間や時間のロスがなくなります。

 これは子連れ半日旅でも同じ。うちの娘はまだ幼いので、オムツだったり、何か汚れたときの着替えだったりがお出かけには必要不可欠です。そういったものは常に車に積んでいたり、そもそもカバンに入れておいたりして、すぐに出かけられるようにしています。すべてでなくても、ある程度でいいので常に準備しておくと、出発までの心理的なハードルが下がります。

 あと子連れ旅で忘れてはならないのは、子ども用の便利グッズ。例えばプラスチックのお皿やナイフ・フォークが用意されている飲食店は多いですが、スタイはないところもあるので重宝します。乳児の場合は、食べ物を小さく切るフードカッターも便利ですね。また、イヤイヤ期の小さな子どもは、理由もなくぐずってしまうことがあるので、いざというときのためにお気に入りのオモチャやお菓子も忍ばせましょう。子どもが楽しいと親も楽しくなるので、実はこれが一番大事かもしれません(笑)。

 子ども用の便利グッズで荷物が増えたぶんは、大人用の荷物を減らせばいいんです。私の場合、旅のときはいつも一眼レフのデジカメなのですが、子連れの場合はコンパクトカメラにしています。今はスマートフォンでも十分奇麗な写真や動画が撮れるので、それすらなくてもいい。

 ここまでの荷造りはできれば前日の夜までに終えて、当日はなるべく早めに出発するのも、子連れ半日旅を快適に楽しむコツです。朝早く出て、きちんと昼寝の時間もつくって、日が完全に暮れる前に、潔く帰る。子どもの普段の生活リズムをできるだけ崩さないようにしたほうが、翌日にも影響が出ません。

 旅に出るともったいない気がして、ついあれもこれも行こう、となりますが、一回の旅で欲張るより、そのぶん回数を重ねたほうが、子どもとの思い出も増えると思います。

吉田友和さん
吉田友和さん