「受験対策ではない、生涯、自分で学び続ける力を身に付けさせたい」。石川県金沢市立西南部中学校ではこうした考えのもと、宿題や定期テストを廃止するなど教育改革を行い、生徒が自主的に学びたくなる環境を実現させています。同校の校長である高島栄治さんと教頭の田村裕志さんに話を聞きました。

2年かけて、「やらされ感のない学習」を推進してきた

 昨年、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、子どもたちが学校に登校できない日が続きました。学校のように「勉強する環境」が整っていない自宅で、自主的に勉強するにはどうしたらいいのか、頭を悩ませた親も多かったかもしれません。

 そんな中、休校の影響をはねのけ、高校入試の合格率をアップさせた公立中学校があります。石川県にある金沢市立西南部中学です。同校では、私立高校の受験者は全員合格。公立高校の合格率も85%と、前年度より9ポイント上昇。その理由について、同校の校長である高島栄治さんはこう説明します。

 「私はずっと生徒たちに、受験対策ではない、生涯、自分で学び続ける力を身に付けさせたいと思ってきました。やらされ感を持たずに学習できるようになるためには、『自分のために学ぶ』という自覚が必要です。本校に赴任して以来、2年をかけてその土台づくりをしてきました」

校長の高島さん(右)と教頭の田村裕志さん(左)
校長の高島さん(右)と教頭の田村裕志さん(左)

テストや宿題は、生徒を評価する道具ではない

 石川県は教育レベルが高い県として知られています。国立教育政策研究所が実施した2019年の全国学力調査では、県内公立小中学生の平均正答率が、全教科で全国平均を上回りました。しかし西南部中学校はというと、ここ数年、他校に比べて平均点が低かったそうです。

 「2年前に赴任してきてまず感じたのは『一見おとなしく見える生徒たちが、実際には無気力なのではないか』ということでした。自主的に学ぶ意欲が感じられず、授業は受け身で理解力も付いていないと感じました」

 そこで着目したのが、宿題とテストのあり方でした。

 「本来、宿題やテストは学力を定着させるための手段ですが、生徒を評価し成績をつけるための道具になっていました。子どもたちは宿題の提出を強制され、テストで良い点数を取るために勉強していました。手段と目的をはき違えてしまっていると感じました」

 高島さんは、教育改革を成功させて注目されている麹町中学校(東京・千代田区)に6人の教員を視察目的で派遣。それにより分かったのは、「同校の生徒と麹町中の生徒に大きな差はない。本校でも生徒の意識は変えられる」ということ。さっそく改革に乗り出しました。

次ページから読める内容

  • 3つの教育改革の中身とは?
  • 世間の風当たりが強かったが、生徒は徐々に変わっていった
  • 保護者からも、肯定的な意見が出るように
  • 課題は、やらない子にどう意欲を持たせていくか

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