第1子が誕生した小泉進次郎環境大臣。誕生後の3カ月間に2週間分の育休を取ると表明したことで、注目を集めています。2020年、男性による育児休業取得は広まっていくのでしょうか。大臣が取得する意義や今後の影響、現状6.16%にとどまる取得率を押し上げるための提言などを、各界の識者の方に聞いていきます。

今回は、2010年から厚生労働省「イクメンプロジェクト」の座長として、男性が当たり前に育児や家事に参加できる社会の実現を目指して活動してきたNPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さんの意見を紹介します。

日本の風土や文化がいかに変わりにくいかを実感

 小泉進次郎環境大臣の育休取得表明を、心から歓迎しています。

 というのも、僕自身、2010年から厚生労働省の「イクメンプロジェクト」に座長として関わり、男性が家事や育児を行うのを普通のことにしていこうと啓発し続けてきたにもかかわらず、10年たってもなお、男性の育休取得率は6%台にとどまるというさんたんたる状況で、結果として世間の人々の行動変容を促せなかったことに、じくじたる思いがあるからです。

 それほどまでに、日本の風土や文化は変わりにくいということ。そこに風穴を開ける意味で、小泉進次郎さんという知名度の高い方の育休取得表明は大きな意味があるのではないかと考えています。

 環境省という組織のトップが休みを取ることについての不安の声も聞かれますが、僕自身は、トップだからこそ休むべきだと強く思います。大臣が休めば、その傘下にいる職員たちも安心して育休を取得できるようになるからです。そもそも安倍政権は、男性の育休取得率を2020年に13%まで上げることを目標に掲げてきたので、小泉大臣の判断は国家戦略にも沿っています。批判する人たちの主張は本当にばかげていると感じますね。

 今回小泉さんは、育休取得中も、国会や重要な会合には出る、重要なメールには返信するといった、「半育休」ともいうべきスタイルを打ち出しましたが、僕自身も、過去に2回、二人の子どもの誕生時にそれぞれ2カ月の育休を取得した際、同じように1日1.5~2時間、リモートで仕事をした経験があります。経営者が完全に仕事から離れてしまうと、組織が回らなくなるリスクがあるとの判断だったのですが、そのくらいの時間があれば、本当に大事なことはできてしまうことは身をもって確認済みです。

 今後、育休の形の多様化がさらに進み、仕事からシャットダウンしなくてもすむ制度が整っていけば、「管理職として責任のある立場にいるから、育休など取れるはずがない」などと思い込んで諦めていた男性たちも、もっと気軽に育休を取得できるようになるのではないかと期待しています。