夫婦2人で一緒に育休を取れば、役割分担が可能になる

 育休生活において、小泉さんにはぜひ、何より妻の心身のコンディションを気にかけ、コミットできるときはしっかりコミットすることを、心がけていただきたいと思います。

 生まれたばかりの子どもというのは、夜中もすぐに起きて泣き出すので、親の睡眠はかなり分断されます。出産後の体というのは、体内のあちこちが、大けがをしたのと同じようなダメージを被っている状態。そんな体で、ママが夜中に頻繁に起きておっぱいをあげる、というのは過酷な仕事です。だから、パパにはぜひ「夜番」を担って、ママを寝かせてあげてほしいですし、昼間も「僕が見ているから、ちょっとお茶してきなよ」「散歩してきなよ」と気晴らしをさせてあげてほしい。夫婦二人で一緒に育休を取る場合は、そうした役割分担が可能になります。

産後の妻を休ませてあげることも大事な夫の役割(写真はイメージ)
産後の妻を休ませてあげることも大事な夫の役割(写真はイメージ)

 批判の中には、「お金があるんだから、ベビーシッターを雇えばいいのに」という声もありましたが、ベビーシッターは基本的に、深夜には頼めません。そもそも、男性の育休は、初めて子どもが生まれた人の場合、「父親としての新人研修」の意味合いもあるのです。父親が生まれたばかりの子どもの面倒をろくに見ず、妻とベビーシッターに任せるだけでは、オムツ一つ替えられない父親になってしまう危険性があります。ベビーシッターを雇えばいいのに、と思う方々には、ぜひこのことを知っていただきたいですね。

 今回の件を契機に男性育休の取得率が大幅に伸びていくことを期待しています。「イクメン」という言葉がなくなるくらいに、父親による育児参加が当然のこととなり、共働き共育てをする家族を社会全体でサポートしていく世の中があるべき姿だと思います。

2017年に日経DUALの誌面上で駒崎さんと小泉さん、衆議院議員の村井英樹さんが鼎談(ていだん)した際の1枚
2017年に日経DUALの誌面上で駒崎さんと小泉さん、衆議院議員の村井英樹さんが鼎談(ていだん)した際の1枚

取材・文/蓬莱明子(日経DUAL編集部) 写真/鈴木愛子、PIXTA(イメージ写真)

■誤字がありましたので、修正しました。(2020/1/25)