娘の成長に合わせた父親による介護の壁

―― 障害のある娘さんとの生活をとても自然に受け入れているように感じますが、今でも葛藤や悩みもやはりありますか?

谷山 悩みは、常にありますね。成長に合わせて、その都度その悩みが変わってくるという感じでしょうか。例えば、私たちがいなくなったら、彼女の面倒は誰が見るのか、これから成長していくにつれてどういった学校などを選んでいくのか……。でも、どれもすぐに答えの出るものではないんです。

 だから、僕は「まあ、考えても仕方ないから今を大事にしよう」と考えて、今を大事にしていければいいと思っています。でも、妻の方が心配性なので、そんなあっけらかんとした態度を取ったらきっと怒られますけど(笑)。妻のほうが、一緒にいる時間も長いし、育児の負担も大きいので、その心配する気持ちも分かります。だから、なるべく聞くようにしています。

―― 今の娘さんの成長をそのまま受け入れてらっしゃる様子が分かります。

谷山 障害にもいろいろありますが、わが子の場合はこれから悪化するものではありません。ずっと車椅子ですが、一緒に生活していけることに感謝しています。

 しかし、成長に合わせて異性であることの難しさも出てきました。今はお風呂に入れるのも抱っこで介助して入れていますが、徐々に大きくなってくると妻一人では無理になるでしょうし、男親が娘をいつまでお風呂に介助していいのかはやはり悩むところです。これは健常児のお父さんも同じだと思いますが、外出中も小さいころは男子トイレに連れて行けましたが、今は小学生になって、そうはいかない。でも娘には介助が必要なので一人でトイレには行けないですから、外出時には悩みますね。障害児の息子を持つお母さんたちも同じような悩みを抱えていると聞きます。

 成長に合わせた本人の自尊心も大事にしてあげたいので、今後はヘルパーさんを呼んで風呂介助を手伝ってもらうなど対策を考えていかないといけないでしょうね。

 さらに、障害児の家庭では、子どもだけでなく親の老後にどうするかという課題があります。今は特別支援の小学校に通っており、特別支援の中高も近くにあります。しかし、私たちが年を取ってきたり、病気になったりしたとき、誰が娘をサポートしていくのか。障害者支援は手厚くなってきているとはいえ、いつか一人で自立してバリアフリー住宅などで暮らすことができるのか……。

 考えても考えても、答えはいつも出ません。選択肢を調べたり、夫婦や周囲と相談したりしつつも、成長に合わせて選んでいくしかないのかなと思っています。妻とは今や運命共同体のような存在です。妻のほうが将来に対しては不安も大きいようですが、その不安にも寄り添ってあげたいと思っています。

 なかなか遠出をできずにいましたが、娘が低学年のうちに家族旅行にももっと行きたいですね。

谷山さんの平日&週末

●平日
6:00 起床
7:30 娘を療育センターに送っていき、出勤
8:30 始業
18:00~20:00 帰宅
   早く帰れる日は、娘をデイサービスにお迎え
   帰宅後、娘の夕食やお風呂の介助
20:00すぎ 娘就寝
21:00 ジムで運動
22:00 帰宅
23:00 就寝

●週末
娘の起きるタイミングで一緒に起床。
朝食を食べさせた後に、父&娘でゆっくりお散歩し、そのまま外食ランチをする。
電車を見ながら食事ができる駅近のお店がお気に入り。
ゆとりがあるときは、夕ごはんもパパが作る。

●パパの気分転換
ジムで汗をかくこと

(取材・文/岩辺みどり)