子連れ旅行には行きたいけれど、子どもも楽しめるお出かけ先が分からない。そもそも泊まりで出かける余裕がない――。

 日々、仕事や育児で忙しいデュアル世代では、そういう向きも多いことでしょう。そこで今回は、昨年『東京発 半日旅』(ワニブックス)を上梓した旅行作家の吉田友和さんに、思い立ったらすぐ出発する、日帰り旅ならぬ“半日旅”を楽しむノウハウを教えてもらいました。前後編の2本立てインタビューです。

 前編では、旅行ビギナーでも楽しめる半日旅の魅力と楽しみ方を紹介します。

初海外で世界一周の新婚旅行! 旅の魅力に開眼し、旅行作家に

吉田友和さん
吉田友和さん

 私が旅に目覚めたのは26歳の頃。当時サラリーマンをしていたのですが、一念発起して会社を辞め、バックパッカーで1年半かけて世界一周しました。ちょうど結婚したタイミングだったので、妻と一緒に、新婚旅行を兼ねて行きました。多少の貯金はしていたとはいえ、我ながら思い切ったなあと思います(笑)。

 僕にとって、それが初めての海外旅行でした。見るもの体験することすべてが新鮮で、刺激的で。すっかり旅の魅力に取りつかれてしまいました。

 帰国してから再就職し、サラリーマン生活を再開したのですが、もう毎日、旅に出たくてしょうがない。でも日々忙しくて、長い休みはなかなか取れません。それで必然的に土日や三連休、ゴールデンウイークやお盆、年末年始といった暦通りの休みを利用して短期旅行に行くようになりました。

 最初はツアーやパック旅行などを利用して海外に行ったりしていましたが、だんだん慣れてくると、行き帰りの飛行機のチケットとホテルだけ取るようになりました。限られた時間でできるだけ濃密な旅にするために、いかに効率よく回って旅先を最大限楽しむか、工夫するようになったんです。

 その最たるものが飛行機の移動時間です。夜行便を利用して、移動中に睡眠をとるようにしました。金曜の夜に仕事終わりでそのまま成田空港へ行き、飛行機に乗って寝て起きたら現地に着いている。そのまま旅行をスタートさせて、帰りは日曜の深夜便に乗って、そのまま成田から会社へ出社するという、弾丸の直行直帰旅行をしたりしていました(笑)。

 30歳を前に本格的に旅行作家としての活動を始めたこともあり、10日間で世界一周をしたり、“週末海外旅”と称して土日でアジアに行ったりするようになりました。日帰りで香港旅行に行ったこともありましたね。とにかく短期であちこちに行くようになりました。

 もともと、長期で豪華な旅に一度だけ行くより、質素で短くてもいいので、旅の回数を重ねたい性分です。たとえ短い旅でも、日常生活のルーティンから解放され、どこかに移動する。そこで見たことのない風景の中に飛び込み、その土地の空気を吸って、初めてのものを食べる。何気ない体験ですが、アクションを起こすことで何かしらのドラマが生まれ、刺激となり、自分の財産になるんです。

 短い旅だからこそ、充実させたいという気持ちが芽生え、旅の密度が濃くなります。それが短期旅行の魅力ですね。