よだれを洗い流し、保湿して食物アレルギー予防

 よだれかぶれを起こしやすい時期(生後6カ月~1歳半)には、よだれで汚れる肌の部分に、白色ワセリンを塗って皮膚を保護することも大切です。唾液には、たんぱく質を分解する酵素が含まれているので、放置すると肌がかぶれやすくなります。かぶれで炎症が起きると、前述したように肌のバリア機能が低下し、そこからアレルゲンとなる食物分子が侵入しやすくなるため、唾液の刺激から皮膚を守ることも食物アレルギーの予防につながる可能性があるのです。

 「食後に口の周りに付いている食べ物の汚れを水できれいに洗い流し、タオルで拭いてから白色ワセリンを塗ります。防腐剤が入っていない白色ワセリンのほうがいいので、小児科もしくは皮膚科で処方してもらいましょう」と大矢さんはアドバイスします。

 赤ちゃんが乾燥肌かどうかを確認したうえで、乾燥肌の場合は1日2回、全身に保湿剤をしっかり塗る。加えて、よだれが多い時期には口の周りの肌の保護にも気を配る。これだけでアトピー性皮膚炎と食物アレルギーの発症リスクを減らせる可能性が高いというのですから、毎日の習慣にしたいものです。

※1「子どもの体調不良について」調査。2016年。2歳の子どもを持つママ20歳~49歳計800人。
雪印ビーンスターク株式会社

※2:厚生労働省健康局 がん・疾病対策課「アレルギー疾患の現状等」資料(平成28年2月3日)

(文/渡辺千鶴 イラスト/もり谷ゆみ、企画/日経BP総研 ヘルシー・マザリング・プロジェクト)

この人に聞きました
大矢幸弘さん
大矢幸弘 国立成育医療研究センター・アレルギーセンター長。
1985年、名古屋大学医学部卒業。86年、同大学医学部小児科入局。国立名古屋病院を経て95年、国立小児病院アレルギー科に入職。以来、小児アレルギー疾患を専門とし診療と研究活動に従事する。2018年より現職。国立成育医療研究センター研究所エコチル調査研究部代表を併任。一般向け書籍の監修に『子どものアレルギー アトピー性皮膚炎・食物アレルギー・ぜんそく』(文藝春秋刊)などがある。
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