備蓄品は慣れた味のものを分散させて

 防災用品は2種類あります。1つは非常用持ち出し袋など、災害時に身を守りながら避難所まで持っていくためのもの。もう1つは備蓄用の水や食品、簡易トイレなど、自宅での避難生活で使うもの。

「非常用持ち出し袋は、すぐに持ち出せるように玄関など、避難動線上に置いておくこと。ふだん持ち歩いているバッグも入れられるよう、余裕をもって詰めておくことがコツです」

 入れておきたいものとしては、以下が挙げられます。自身の家庭の状況に合わせて備えておきましょう。

●ないと困るもの
食料、飲み物、常備薬、マスク

●あるとよいもの
食事に使うもの:お箸セット、折りたためるシリコンコップ、ミニコンロ、電気ケトル

衛生用品:ウエットティッシュ、体をふくシート、ティッシュやトイレットペーパー、ポリ袋、ドライシャンプー、スリッパ、着替え、バスタオル

電化製品関連:モバイルバッテリー、電源タップ、延長コード、懐中電灯、ラジオ、イヤホン

季節用品:冬=使い捨てカイロ、マフラー、手袋、レッグウオーマー、夏=虫よけスプレー、汗ふきシート

その他:紙とペン、本やトランプなど充電の必要がなく時間をつぶせるもの

●寝るときにあるとよいもの
音対策:耳栓

光対策:アイマスク、タオル

居心地アップ対策:プチプチシート、簡易マット、バスタオル、簡易枕、クッション

防犯対策:サコッシュ(ひも付きの小型バッグ)

 このほか、眼鏡や、小さい子どもがいる場合はおむつ、女の子がいる家庭は生理用品など、家庭ごとに必要なものを用意。また、できるだけ持ち出し袋(リュックサック)は防水に。中に入れるものはそれぞれポリ袋に小分けにして入れておく。

 上記とは別に、最低限のものは日ごろから携行することが大切だとも。

「水、食品、モバイルバッテリー、大判ハンカチ、ウエットティッシュ(必要に応じて懐中電灯、ホイッスル、生理用品など)を1つのポーチにまとめておき、カバンを替えても持ち歩くように習慣づけるといいですね」

 非常用持ち出し袋も携行ポーチも、家族の分をそれぞれがつくること。

「何が入っているのか分からなければ、いざというとき役に立ちませんね。子どもの分は子どもと一緒に詰めることが大切です」

 一方の備蓄品に関しては、「まずは水。そして食べもの。さらに簡易トイレも用意すること」と今泉さん。水は1日1人3Lを、最低3日分、できれば7日分用意します。トイレは1日何回行くかによりますが、家族の人数×トイレの回数×3日分は最低限用意することをお勧めします。

「食品ですが、食べている姿を想像できるものを選んでください。どれだけ備蓄に適した食材であっても、好みの味ではなかったり、上手に調理できなかったりすれば、もしものときに活用できません。缶詰やレトルト食品など、普段使いしているものの中から家族が好きなもの、食べ慣れているものを選んで備蓄することがポイントです。非常時は、食べ慣れたものを口にするだけで、ホッとするものです」

 今泉さんは、これらを衣装ケースなどフタのついた箱に詰めて、各部屋に分散させておくことを勧めます。

「地震などで家具が倒壊して閉じ込められても大丈夫なように、うちは子ども部屋にも寝室にも用意しています」

 車の中にも用意すると、なお安心です。もしものときはその場所で食べられるように、食具、ウエットティッシュ、ゴミ袋も一緒に置いておくのがお勧めとのこと。ゴミは衣装ケースに入れてフタを閉めれば臭いを封じ込むことができます。

今泉家のストックの一例。
今泉家のストックの一例。

缶詰などは、側面にも賞味期限を記入しておくと、古いものもすぐに見つけられる。
缶詰などは、側面にも賞味期限を記入しておくと、古いものもすぐに見つけられる。