子どもが小さいうちは医療機関にかかることも多く、共働き子育て世帯にとって薬局は身近な存在でしょう。「処方せんを出して薬を受け取る窓口」という認識を持っている人は多いでしょうが、実は、薬局で対応する薬剤師は、健康について相談に乗ってもらえたり子育てのアドバイスをもらえたりと、健康や子育てのサポーターでもあります。
2020年9月に医薬品医療機器法(薬機法)が改正され、調剤時に限らず、必要に応じて使用状況の把握や服薬指導を行うことが薬剤師に義務づけられました。患者と薬局の距離が近づきつつある中で、薬局と薬剤師にもっと頼るためのコツを、薬剤師で、5歳と3歳の男の子のママでもある伊藤希美さんに聞きました。

 「薬剤師は子育て世代に提供できる情報をたくさん持っているので、薬に関することはもちろん、子育ての悩みやママ・パパ自身の健康相談でも頼ってほしい」と伊藤さんは話します。「薬剤師にこういうことを聞いてもいい」という12の質問について、答えてもらいました。

「子どもが薬を嫌がるときはどうしたらいい?」「保湿剤の正しい塗り方は?」

1.「医師の薬の説明が分からないから教えて」

 「『鼻水を止める薬を医師にお願いしたのに、出された薬をネットで調べたらくしゃみを止める薬かもしれない』など、薬に関して疑問を持ったら薬剤師に聞いてください。同じ薬で2つの効果を持っていたり、医師が説明を簡略化していたりすることもあるので、分かりやすく説明します」

 「錠剤を散剤に、保湿剤をクリームタイプからさっぱりとしたローションタイプに、といった変更も、クリニックに電話して処方した医師と直接話すなどして、薬局から医師に働きかけることができます。薬剤師の役割は、患者さんに納得して薬を服用してもらうことです。医師に言いにくいことがあれば間に立って調整します」

2.塗り薬は「擦り込む? のせる?」正しい塗り方は?

 「塗り薬でも、ステロイドは患部を覆うようにのせる、ヘパリン類似物質配合の保湿クリームやおむつかぶれの亜鉛華軟膏(あえんかなんこう)は擦り込むように塗るなど、薬によって使用法が異なります。診察時に医師が伝えきれていないこともあるので、正しい塗り方は詳しく説明します。

 医師に指示された回数・量を守ることも大切です。でも、共働きだと忙しい朝に薬を塗るのは大変だと思います。私の場合は、子どもが起きる前、寝ている状態のまま塗っています。ちなみに夜は、入浴直後に薬を塗ることにこだわらなくても大丈夫です。体がほてっていると子どもが嫌がって塗らせてくれないことも多いので、ほてりが冷めた頃に落ち着いて塗ってあげてください。塗るときに、薬の量が少なすぎる場合も多いのです。塗った後にティッシュが肌に貼り付くくらいの量を目安にしてください。

 保湿剤とステロイド剤が両方処方されたときは広範囲に塗るものを先に塗るのが基本ですが、抵抗する子どもに大事な薬を塗り損ねたくないので、私はステロイドを先に塗ることもあります。例えばこのように、日常生活の中でしっかりと薬を使えるような工夫についても薬剤師は伝えることができます

写真はイメージです
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