共働き家庭はどうしても子どもと離れる時間が長くなります。そのとき、もし大災害が起こってしまったら…。

 考えたくはない未来ですが、想定し、準備しておくことはとても重要なことです。「災害に強い地域社会を作る」というテーマで防災の啓発活動をしているNPO法人ママプラグの冨川万美さんに「共働き家庭の防災対策」について教えてもらいます。

巨大地震に万全な対策をとっている家庭はわずか1%?

● 夫婦共働き
● 子どもを保育園に預けている

 日経DUAL読者の多くは、上記2点に当てはまるのではないでしょうか? 保育園を「学校」に置き換えても構いません。

 私たちは、2009年に「ママプラグ・プロジェクト」を立ち上げ、現在はNPO法人ママプラグとして活動しています。東日本大震災の支援活動を機に、多くの被災されたお母さんたちの経験を伺ってきました。

 働くママが増えていく中、災害に関するリアルな声を届けるとともに、まだ災害の備えに踏み出せていない方々に少しでも興味を持ってもらって、一人ひとりが災害に強い地域社会を作りたいという思いで啓発活動を続けています。また、防災の「暗い」イメージをクリエーティブな力で「楽しく取り組めるもの」に変えていけるよう、自治体・企業との取り組みにも力を入れています。

 2018年は、群馬県、大阪府などで相次いで大きな地震が起こりました。豪雨や台風などによる災害も続いており、自然災害の脅威を改めて感じた方も多いのではないでしょうか?

 東日本大震災以降、地震が発生するごとに、共働きの親が困った体験談として、「子どものお迎え問題」が必ず挙がります。震災が起きた2011年3月11日、被災地以外でも帰宅困難になり、保育園のお迎えが深夜になってしまった、あるいは翌日までお迎えに行けなかったという経験がある方もいると思います。

 にもかかわらず、今後必ず訪れるであろう南海トラフ巨大地震、首都直下型地震に備えて、保育園のお迎え問題に万全の対策をしているご家庭は、現状わずか1%にすぎないといわれています。

「私は大丈夫」
「うちの場合はなんとかなると思う」
「保育園が預かってくれているから安心」

 何となく、そう考えてしまっていませんか?

 例えば、東京で首都直下型の地震が発生した場合、公共交通機関は間違いなく大混乱、多くの鉄道路線がストップし、首都高速道路をはじめ環状線は通行止めになります。また、東京都の条例では、すべての事業者に対し、72時間分の備蓄をしなさいという努力義務を課しています。つまり、地震から3日間は、余震の危険性やインフラの混乱を見込んでなるべく動かないでほしい、というわけです。

 もちろん、3日間丸々会社にとどまるというのは現実的ではないかもしれません。しかし、二次災害のリスクを考えると、最低でも1日はその場にとどまることが安全な選択といえることは間違いないのです。