家族それぞれの「個性」を見つけていく

 これまでもお伝えしてきた通り、防災には「ハード面(モノの備え)」と「ソフト面(行動の心得)」があります。どの家庭でも、「わが家だけに必要なもの」「わが家だけの特別なルール」が存在するはず。それを見つける作業を経て、備えたものこそが本当に機能する防災だと言えます。

 では、どのように「自分たちだけの防災」を組み立てていけばいいのでしょうか。

 まずは、家族会議を開きましょう。もちろんかしこまったものではなく、みんなで時間をとって集まればそれでOKです。そして、次のことについてそれぞれ自己申告し合うのです。

1.家族それぞれが持つ「個性」は何か?
2.家族全体としての「個性」は何か?

 例えば1.は、こんな具合です。

パパの個性
パパ「僕は近眼で花粉症。平日は仕事で、ほとんど家にはいないなあ」

ママ「パパはお酒が大好きだよね。あと食べることが趣味だから、空腹だとイライラしそう…」

息子「だけどパパは、好き嫌いが僕より多いよ!」

娘「おまけにおなかを壊しやすいよね」

ママの個性
ママ「私は、ほとんど個性なんてない気がするな」

パパ「ママは頭痛持ちで、いつも頭が痛いって言ってるよ。生理痛もひどいほうかもしれないね」

娘「ママといえばおやつだよ! いっつも『甘いもの食べたい』って言ってるよね」

娘の個性
娘「私は毎日小学校に通っていて、塾にも行っています。好き嫌いはあんまりないけど、卵アレルギーがあります」

ママ「アレルギーは心配だね。それと娘といえば○○(娘の好きなアイドル)だよね」

息子「お姉ちゃんは、夜遅くまで勉強してるよね」

 こんな風に、家族それぞれの体調や身体的な特徴、好きなことや趣味嗜好まで、すてきな個性を出し合っていきます。

 そうすると、防災の備えとしてこんなことが必要だということが分かってきます。

パパに必要な防災

備え→ メガネ、花粉症の薬やマスク、食料をなるべく多めに、整腸剤、パパが食べられる非常食、リラックスのためのお酒

懸念→ 平日はほとんど家にいないため、非常時の連絡先や落ち合う場所を決めておく

ママに必要な防災

備え→ 鎮痛剤、ストレス軽減のための甘い非常食

娘に必要な防災

備え→ 卵の入っていない非常食、アイドル動画などが見られるスマホ(予備バッテリーなど)

懸念→ 平日、学校や塾に行っているときの連絡先や落ち合う場所を決めておく

 息子の場合はこう、同居の祖父母の場合はこう……と見ていくと、「全員が必要というわけではないけど、その人にとっては大切なものやこと」が分かってくるのです