「何が何でも帰りたい」が本音だとは思うが…
連載第1回で、保育園のお迎え問題に触れました(巨大地震発生! そのとき保育園へ迎えに行けるか?)。
現実的に、子どもたちが安全に過ごせる方法をお伝えしましたが、親になるとやはり「自分の身より子どもの安全」という人が多いでしょう。
私たちは、企業との協働事業も多く、これまでも中小様々な企業の方と防災の話をしてきましたが、「災害が起きたら、しばらくは帰れない前提で備えている」という人もいれば、「会社から備蓄は十分あると言われたし、交通がストップするのも分かるけれど、子どもの顔を見たい気持ちは我慢できないと思う。私は何が何でも帰りたい」という人もいます。
どちらかといえば、後者がリアルな声だと、私も思います。おそらく、どんなに行政が各事業所に対して3日間はなるべく滞留するように呼びかけて、備蓄を進めたとしても、「私は何がなんでも帰る!」という人々で道路があふれる可能性は大です。
でも、これをお読みになった皆さんには、その行動に待ったをかけてもらいたいのです。
過去の災害を思い出してください。熊本地震では、今まで感じたことのない大きな揺れの後、前代未聞の「本震」がやってきました。東日本大震災では、「高さ3メートル」という津波予測の中、前代未聞の「高さ8メートル」の波が襲ってきました。
災害は予測が大幅に外れることが大いにあり得ます。もし、そんな状態でむやみに歩き出していたとしたら、あたりが停電の中、大きな二次災害に見舞われる危険性があります。
また、これは書くのも心苦しいことなのですが、災害時は死角が増えるので、性犯罪が増えることも事実です。独自の判断で、子どもに会いたい一心だけで動いてしまうと、自分が命を落としたり、心身に深刻なダメージを負ってしまったりすることもあり得るのです。
だから、災害に遭遇したら必ず守ってほしいことがあります。それは、「大切な人を守りたいなら、まずは自分の身を大切に守ってほしい」ということです。
ずいぶん前置きが長くなってしまいましたが、本題に入りましょう。今回のテーマは「オフィス防災」です。