共働き家庭はどうしても子どもと離れる時間が長くなります。そのとき、もし大災害が起こってしまったら……。

考えたくはない未来ですが、想定し、準備しておくことはとても重要なことです。多くの被災されたお母さんたちの経験を踏まえ、「災害に強い地域社会をつくる」というテーマで防災の啓発活動をしているNPO法人ママプラグの冨川万美さんに「共働き家庭の防災対策」について教えてもらいます。今回のテーマは「災害に強い家」です。

「強い家」は緊急時のよりどころになる

 「家族の防災」をテーマに進めてきた本連載ですが、私たちが頻繁に受ける相談の一つに「家」があります。

 夫婦共働きの場合、あまり家にいないような気がしていても、睡眠時間も含めれば12時間程度は家の中で過ごしていると思います。特に、子どもが生まれたばかりでママ、パパのどちらかが育休中であったり、2世帯住宅であったりする場合は、家族が家にいる時間が圧倒的に長いわけです。

 今回は、そんな長い時間を過ごす「家」を選ぶときに重要な「地域」について、防災の視点から考えてみようと思います。

 なぜなら、災害はいつ起こるか分からないからです。ぐっすり寝ている時間帯かもしれないし、自分だけが留守のときに起きるかもしれません。災害に耐える「強い家」は、たとえ家族が離れ離れになっても、安心できる心のよりどころになります。

「住みよい街」とはどんな街?

 さて、最近は「住みたい街ランキング」「住みよい街ランキング」などが毎年発表されるようになりました。日経DUALでも「共働き子育てしやすい街ランキング」が特集されています。こうしたランキングを気にされる方も多いのではないでしょうか。

 「住みよい街」とは一体どのような視点からの評価なのでしょうか? 一般的な住みよさランキングは、「安心度」「利便度」「快適度」「充実度」などの視点から、その対象層に合わせて、さまざまな指標をもとに偏差値を算出するような仕組みが取られています。

 駅周辺の商業施設が充実していたり、子育て支援施設が多かったり、死角が少なくて安心安全であったり……皆さんがお住まいの街はいかがでしょうか? また、パッと思いつく街もそれぞれあるのではないでしょうか。関東に限っていえば、都心からアクセスしやすい神奈川、埼玉、千葉などの都市がランキングに名を連ねることも増えてきました。

 もちろん、このような情報に頼るだけではなく、職場や学校へのアクセス、雰囲気やこだわりなど、住まいの地域を決定するにはたくさんの要素があるでしょう。

 では、ここにプラスするべき必要な防災目線とはどのようなものでしょうか。