クラシック音楽の世界を舞台に、音大生たちの恋と成長をコミカルに描いて一大ブームを巻き起こした漫画『のだめカンタービレ』。作者の二ノ宮知子さんは2人の男の子のママでもあり、コミックエッセー『おにぎり通信』では、仕事と子育てに奮闘する日々を笑いたっぷりに描いています。

 そんな二ノ宮家の家事・育児の主力は、夫の敦夫さん(通称POM<ポン>さん)。「ママ」「パパ」という固定的な役割にとらわれない、二ノ宮家の家事・育児シェアの形はいかにして生まれたのでしょうか。今回は、本音満載の夫婦対談が実現。言いたい放題でしょっちゅう衝突、でもベースにはお互いへの信頼あふれるお二人の関係性からは、家族みんながハッピーになるためのヒントが見つかりそうです。

【共働きを応援! 「家事・育児シェア」50の新ソリューション特集】
第1回 夫にやってほしい家事・育児1位「子どもとの会話」
第2回 家事・育児“やらない夫”を動かした妻の4つの言動
第3回 家事育児放棄の“毒ガスパパ”にはボイコットで対抗
第4回 外資系コンサルが分析 「理想のパパ」への近づけ方
第5回 二ノ宮知子 ちゃんとケンカするから仲良く暮らせる ←今回はココ

たまに料理し、キッチンを散らかして嫌がられるママ

日経DUAL編集部(以下、――) 『おにぎり通信』は、夫のPOMさんにダメ出しをされる二ノ宮さんの姿など、夫婦のやり取りが面白過ぎて何度読んでも大笑いしてしまいます。それにしても、POMさんは乳児のころから息子たちの世話をして、料理も万能、さらには二ノ宮さんのプロダクションの経営も見ながら、漫画制作のサポートもこなす。まさに「神パパ」です。

二ノ宮さん(以下、敬称略) 何しろ私はあんまり何もしないので。以前はアシスタントさんが泊まり込みで来ていたので、いろんなお世話もしていたよね。

POMさん(同) そうだね。とにかくあなたは漫画を描いてね!ということで。

二ノ宮 でもね、私も料理はすごくできるんですよ! 独身時代はアシスタントの食事も作っていたし。結婚する前、彼が外で働いていたときはお弁当を作ったりして、かいがいしい時代もありました。

 今も、作りたいものが出てきたときだけ急に料理をやったりします。で、キッチンを散らかしたまんまにして嫌がられる。世の中によくいる旦那さんにそっくりです。

POM 洗い物だけ放置してね。イラっとしますよ(笑)。

―― お二人は20代後半で結婚されたそうですが、二ノ宮さんが漫画に専念し、POMさんが家のことを担当するのは、結婚当初に決めたのでしょうか。POMさんはそれについて抵抗はありませんでしたか?

POM 全然なかったですね。僕が外に働きに行くよりは、この人が漫画を描いて、僕はそのサポートをしたほうが効率がいいと思ったんです。そうしたら、やることはおのずと決まってくる。

二ノ宮 あなたはもともと一人暮らしで何でもできたんだよね。洋食屋さんでアルバイトをしているときに調理師免許も取っているし、料理力はすごく高いんです。子どもが生まれてからは、ママ友の中に入っていったりするのも全然平気。LINEでいつもやり取りしているし、お祭りとかのイベントも進んで仕切っちゃうの。私なんて、隠れられるものなら隠れよう、みたいなタイプなのに。

POM 僕はママ友が話すパパの愚痴にいつも共感しています。

おっとりとした口調ながら本音をポンポン話す二ノ宮さんにカラッと突っ込むPOMさん。絶妙なコンビネーションです
おっとりとした口調ながら本音をポンポン話す二ノ宮さんにカラッと突っ込むPOMさん。絶妙なコンビネーションです
<次のページからの内容>
● 前日にお互いの行動を確認、必要に応じてフォローし合う
● かつては長男に「パパがいい」と大泣きされたことも
● 「おいしい」「寝心地いい」 言葉でちゃんと相手に伝える
● 濡れた鍋をコンロに置く夫、運転免許を絶対取らない妻
● 謝るぐらいなら、裸でコーヒー!?
● 「何でもいい」では、相手も自分もハッピーになれない