この特集で実施したアンケートでは、家事・育児シェアに積極的な「神パパ」「上級パパ」が確かに存在することが分かりました。しかし回答数の比率からは、多くの共働き子育て家庭では家事・育児の主な担い手はまだまだママであることが推測され、「パパにもっとやってほしいのに…」「何で家事・育児を自分事だと思ってくれないの…」という嘆きの声も聞こえてきました。

 そこで今回は、パパが家事・育児シェアに積極的でない理由を、外資系コンサルティングファームに勤務する子育て真っ最中のコンサルパパが分析。タイプに応じた課題を抽出し、「理想的なパパ」への変化を促す解決策をパパ目線で提案してもらいました。

【共働きを応援! 「家事・育児シェア」50の新ソリューション特集】
第1回 夫にやってほしい家事・育児1位「子どもとの会話」
第2回 家事・育児“やらない夫”を動かした妻の4つの言動
第3回 家事育児放棄の“毒ガスパパ”にはボイコットで対抗
第4回 外資系コンサルが分析 「理想のパパ」への近づけ方 ←今回はココ
第5回 二ノ宮知子 ちゃんとケンカするから仲良く暮らせる

家事・育児シェアに積極的な「理想のパパ」の条件とは

 ママが「わが家の家事・育児シェアはうまくいっていない」と感じるとき、果たしてパパ側には、どのような原因があると考えられるでしょうか。今回、パパへの効果的なアプローチについて分析をお願いしたのは、外資系コンサルに勤め、育児や資産運用についてつづったブログ「楽々生活」を運営している30代前半のE太さんです。

 E太さんは昨年、第一子が誕生。職場では異例ともいえる半年間の育休を取得しました。「子どもが生まれるまでは仕事中心の生活で、それが楽しいと思っていました。家のこともほとんど妻任せでしたし、子どもが生まれても、自分が育児にそれほど参加するとは思っていませんでした」

 しかし妻の妊娠が分かると、「せっかくだから、今しかできない体験をしてみたい」という強い気持ちが芽生え、育休取得を決意。そのときの経験を通して、「世の中の男性はなぜ育児に参加できないのか」を痛感したそうです。「恐らく仕事を継続していたら、私も育児はほとんどできなかったと思います。やっぱり時間を取ることがすごく大事なんだと実感しました」

 今回の分析のベースとしたのは、NPO法人子育て学協会会長の山本直美さんが、DUALの連載「HAPPYファミリー・ビルティング」で提示したパパのタイプ別マトリックスです(元記事はこちら)。山本さんは、主体性が高く共感性が低いパパを「解決思考パパ」、共感性が高く主体性が低いパパを「柔軟なパパ」、共感性と主体性がともに低いパパを「指示待ちパパ」、共感性と主体性がともに高いパパを「自立型パパ」と名付けています。

パパのタイプ別マトリックス
パパのタイプ別マトリックス

 ちなみに、E太さん自身は「解決思考パパ」。「夫婦になって数年経ち、相手が何を求めているのかをつかまなくなっていたのかも。子どもが生まれたことで、そのことが課題となって表面化したように思います。最初のころは洗濯物の畳み方や食器の洗い方など、妻にダメ出しされてばかり。私が一人暮らしで培った『適当に生活してどうにかなる』というポリシーと、妻が求めるやり方との間にギャップがあったんですね」

 E太さんは、家事・育児に積極的な「理想のパパ」像を、「主体性も共感性も高い人」と想定。「仕事も家庭も、人との関わりの中で物事を進めていくという点では同じと考えると、主体性と共感性がともに高い、自立しているパパが理想だと考えます。解決思考パパ、自立型パパ、指示待ちパパ、柔軟なパパという4象限がありますが、やるべきことは『主体性を上げる』『共感性を上げる』の2つになります」

 ここでE太さんが強調するのが、「パパが変わるのには時間がかかる」ということ。「指示待ちパパが斜めにぴょんっと自立型パパに向かうことはありません。世の中、そんなに器用な人はいませんから、まず主体性か共感性のどちらかを上げ、次にもう一方を、というステップを踏まないと自立型パパにはたどり着かない。時間はかかるけれども、それぞれを高めていけば最終的に変われるんじゃないか、という発想です。パパ目線で言うと、ママにはそこをもっと自覚してもらえたら…と思っています

 次のページからは、パパの「主体性が低い原因」「共感性が低い原因」を具体的にひもとき、対策を考えていきます。

<次のページからの内容>
● パパの主体性、共感性が低い7つの原因とは?
● 自分の思い通りにできないと、やる気をなくすパパ
● 男性は評価が気になるものだと認識し、肯定的に見守る
● ベースとなるのは「先入観を捨てて相手と接すること」