今回、日経DUALが実施した「家事・育児シェア」に関するアンケートでは、女性154人、男性19人から回答を得ました。パパたちを応援すると銘打ち、主にパパにご回答いただくことを想定していたものの、蓋を開けたらほぼ9割がママからの回答となりました。「家事・育児シェア」というテーマだと、やはりママが主導権を握っているケースが多いのでしょうか。過去の調査でも、回答者の6割以上が「現在、妻のワンオペである」と回答したことを念頭に置くと、現在の共働き子育て中世帯では、まだまだ家事・育児というとママが担い手であることが裏付けされたように感じます。しかし、中には「私は“神パパ”です」もしくは「うちのパパは“神パパ”です」という回答者もちゃんといました! 今回は、そんなご家庭にディープな追加取材をし、そこから見えた「家事・育児シェア」のソリューションの数々をご紹介します。

(* 本文中に出てくる名前はすべて仮名です。名前の後のカッコ内には、本人の年齢と、子どもの年齢が書かれています。)

【共働きを応援! 「家事・育児シェア」50の新ソリューション特集】
第1回 夫にやってほしい家事・育児1位「子どもとの会話」
第2回 家事・育児“やらない夫”を動かした妻の4つの言動 ←今回はココ
第3回 家事育児放棄の“毒ガスパパ”にはボイコットで対抗
第4回 外資系コンサルが分析 「理想のパパ」への近づけ方
第5回 二ノ宮知子 ちゃんとケンカするから仲良く暮らせる

 どんなに家事・育児を主体的に行っているパパでも、最初はやらなかった時代があるはず――。では、いったい、何をきっかけに彼らは家事・育児に対して主体的になったのでしょう。それを探ることで、現在、関わり度合いが少ないパパが変わるきっかけを作ることができるのでは? そう考えて、日経DUAL調査では、自分(パパが回答している場合)、もしくは夫(ママが回答している場合)が“神パパ”・“上級パパ”であるという回答者16人に、「いつから自分(パパ)が家事・育児を主体的に行うようになったか」「いつ現在の家事・育児分担を決めたか」を尋ねました。その結果がこちらです。

* 「私は神パパ or 上級パパです」と回答したパパ9人は、正社員のほか、公務員、弁護士として勤務されています。

「僕と結婚したほうが、この人はラクになるはずだ」と思った

 最多を占めたのが「結婚当初からパパが家事・育児に積極的だった」というパパたちです。と聞くと、「何だ、最初から特別なタイプだったんだ」と思われてしまうかもしれませんが、皆さんに結婚当初の状況を詳しく伺うと、「ただ、家事・育児が好きだった」ということではなく、「そうせざるを得ない状況だった」という実態が見えてきます。では、具体的にケースを見てみましょう。

 神パパ・玉川武さん(48歳・中1と中3の娘)は、妻とは高校の同級生同士。20歳で再会し、28歳で結婚。当時、玉川パパは会社員、妻は看護士。妻は社会人入試で大学で学んでいたため、昼間は学生、夜は看護師の生活で疲弊しており、「僕と結婚したら少しは楽にしてあげられるのでは」と結婚に踏み切りました。「家事はできるほうがやればいい」と考え、家事の多くを玉川パパが担うことに。その後も妻は大学院に進学したり、遠方に就職したり、子どもを産んだりとライフイベントの連続で、家事は専ら玉川パパの担当。現在、妻は大学教員で、大学院の博士課程にも通学中です。

 上級パパ・平田優太さん(34歳・1歳と小1)は、同じ職場の同期同士で結婚。仕事内容もほぼ同じで、結婚当初から「家事は半々」という考えで一致していました。結婚や出産を機に退職するという考えもなく、「一生夫婦でフルタイムで働いていくつもり」でいたため、「家事は半々」は夫婦の原理原則です。妻は手が荒れがちなので水回りの掃除は夫が担当するなど、細かい点は普段の夫婦の会話の中でチューニング。どの家事もお互い一通りできるものの、担当する家事は分かれていて、総量としては感覚的に半々だそうです。

 平田パパは言います。「私の場合、両親が共働きで、働きながら家事も育児もしていた母を尊敬していた、というのが背景にあります。父は“昭和の父親”という感じで、家事を積極的にするタイプではありませんでしたが、料理などもやればできるし、犬の世話や車の管理など自分のやるべきことはやる、という人間でした。私は実家にいる間は特に積極的に家事を手伝うことはありませんでしたが、実家を出て今の妻と同棲を始めたときには、既に『家事は半々』という感覚に切り替わりました」

 では、2番目に多い、「何となく、自然とやるようになった」というパパはどうでしょう。

 上級パパ・佐々木一志さん(36歳・年長)は、得意な洗濯も含め、家事・育児の分担はその都度、小さなきっかけやトラブルを経ながら、何となく決まってきたと言います。週末の掃除は、夫が子どもの習い事に同行している間に、妻が担当。妻がやれなければ、夫がやる。できるほう、もしくは、こだわりがあるものがあれば、こだわりのある人がやるという感じで、何となくの分担が決まっているそうです。

 夫を“神パパ”と尊敬する、竹下素子さん(49歳・小1)は言います。「私の夫は自分がやりたい部分をやっているという感じです。以前、夫が出張中、『出張から帰ってから、(いつも夫が担当している)床掃除をさせるのはかわいそうだ』と思い、私がやっておいたところ、そのやり方が不十分だったようで、夫は出張から帰ってすぐにモップを持って床拭きをしていました。基本的に、家事をするのが苦にならないようで、私から何かお願いして渋々やってもらうことはありません」

 竹下ママはこう分析します。「家事・育児シェアの度合いは、子ども時代や独身時代に、本人がどれくらい家事をやってきたかにもよるのでは、と思います。私の夫は中国人で、農村出身ということもあり、子どものころから野良仕事やら何やらせっせと行うタイプだったようです。また『家事は女がやるもの』という意識もなく、以前、粉ミルクを買うと『キッチンままごとセット』が付いてくる、という販促を店頭で見て、私が『うちは男の子だから要らないよね』と言ったところ、『え、男の子だと何で要らないの?』と驚かれ、こちらがびっくりしてしまいました。また、夫には、仕事よりも家で掃除や炊事をしていたほうがよい、くらいに思っている節があるのと、仕事にそれほど入れ込まないタイプなので、日本の仕事で疲れたサラリーマンが帰宅後に家事をするのとはまた感じる負担が違うかもしれません」

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<次のページからの内容>
● 夫婦の家事・育児分担比率「夫9:妻1」の神パパに聞く!
● “やらない夫”を動かした妻の言動 「こうすれば夫は変わる」
● 家事・育児分担の細かいコツ 「なるほど! その手があったか」
● パパだけじゃない。小3~中学生以上の姉3人が大奮闘
● 食洗器、洗濯乾燥機、ルンバ“三種の神器”を使い倒す