テレワークという言葉自体は浸透してきましたが、実践するとなると働く本人だけでなく、企業側の制度やシステムの整備が必要になるため、導入には差があるのが現状です。そこで日経DUALでは先進的にテレワークを導入している企業を「テレワーク2.0」企業として、ピックアップ。事例をお届けするのが今回の特集です。

 特集の2回目はテレワークマネジメントの田澤由利さんにテレワークの現状を伺いながら、テレワーク2.0企業としてパナソニック、日本航空、あおぞら銀行に取材。導入のために、どんな困難や挑戦、工夫があったのでしょうか。

【テレワーク2.0時代最前線CHECK!特集】
(1) 「気づくとソファに」テレワーク実践の悩み洗い出し
(2) 日本航空、パナソニック、あおぞら銀行のテレワーク  ←今回はココ
(3) テレワーク実践者のテクニック あえて連絡を密に
(4) 中小企業の可能性広がるテレワーク事例「ワクスマ」
(5) テレワーク効果でリアル会議も濃密に 実践者の声

大企業のテレワーク、2.0になるのに必要なのは「広がりと深み」

テレワークマネジメント 田澤由利さん
テレワークマネジメント 田澤由利さん

 総務省が行った2017年の「通信利用動向調査」によると、従業員数100人以上の企業でテレワークを導入している割合は13.9%で、2013年から4.6ポイント上昇。これを規模別でみると同300人以上の大企業では23.0%に達しますが、300人未満の中小では10.1%と2倍強の差があります。

 大企業を中心に確実に広がりつつあるテレワークの制度。とはいっても、「制度として導入しているだけにとどまっている可能性もあるでしょう。例えば業務の一部をテレワーク用に切り出して自宅勤務の日を設けたり、年に数回だけならできるというケースなどはそうです」(田澤さん)。真に働き方を改善するための制度として浸透させるためには、今後は「広がりと深み」が課題になると言います。

 また、中小企業や地方の場合は「人材不足が深刻ですが、それがテレワークで補えることに目が向けられていない場合が多いように思います。まずはテレワークという働き方を導入することで、課題解決ができることを伝える段階です」(田澤さん)。

 ではテレワーク2.0企業といえるあおぞら銀行、日本航空、パナソニックの場合はどのようにテレワークを進めているのでしょうか。

各社のテレワーク対象者
取材を基にDUAL編集部が作成
取材を基にDUAL編集部が作成
<次のページからの内容>

・テレワーク2.0企業の共通ポイント
・パナソニックはテレワークに5つのメニューを用意
・メール文化からウェブやスカイプ会議に移行
・日本航空の業務プロセス改革は「なくす」「減らす」「置き換える」
・ペーパーレス化、「IT駆け込み寺」で無駄を減らす
・あおぞら銀行は6割の文書を削減!
・銀行ならではのセキュリティ意識