俳優・モデルとして活躍する栗原類さん。独特のキャラクターで人気を呼んでいる類さんですが、2015年に自身が発達障害の一つ、ADD(注意欠陥障害)であることをメディアで公表。世間から大きな注目を集めました。
そんな発達障害の類さんを女手一つで育ててきたのが、通訳・音楽ジャーナリストの栗原泉さん。自身も同時に、典型的な発達障害であるADHD(注意欠陥多動性障害)であることを指摘されたという泉さんに、どんな子育て方針を貫いてきたのか、インタビュー前編に引き続き、お話を伺いました。(インタビュー後編)
「自分が輝けるようになったのは母のおかげ」
発達障害があろうが、なかろうが、親がどう子どもに向き合うかでその子の人格形成や人生観は大きく変わってくるものです。子育てには、迷いがつきものですが、泉さんは自分なりの子育てのルールを持つことで、ブレることなく類さんに寄り添い、向き合ってきました。
大人になった類さんは、「自分の才能を生かす居場所を見つけて、輝けるようになったのは、同じ障害がありながら、いつも自分を信じて導いてくれた母の存在が大きかった」と語っています。
- 周囲の雑音に振り回されない知識を持つ
- 「わが子に今、何が必要か」をじっくり観察する
- 頑張らせることの優先順位を決める
- 子どもと一緒に学ぶ、感動を共有する
- 人生への前向きな姿勢、社会常識やマナーを教える
- 子どもの将来を見据えた教育ビジョンを持つ
- 親のエゴを外して、子どもの意志を尊重する
- 子どもに言ったことは必ず守る、言行一致させる
「好きなことだけは、頑張れる人」に育てたい
泉さんが決めた子育てルールは、どれも当たり前のように見えて、いざそれを実践しようとすると、なかなかうまくいかないことのように思えます。
例えば、親は「子どもには、頑張って努力することを知ってほしい」と思うもの。でも頑張ってほしいことが、成長するにつれてどんどん増えてしまいがちです。特に発達障害の子どもは刺激に弱く、ただでさえオーバーワークになりやすいものです。だからこそ、頑張ることの優先順位をつけることが大切になってきます。泉さんが最優先したのは、「好きなことだけは、頑張る」でした。
「自分は自分でいい」。そう類さんに伝え続け、決して人と比べたり、同じようにしたりすることを求めなかった泉さんですが、「好きなことには頑張れる人になるように、ということはこだわりました。努力ができる人になることはすごく大切なこと。理想を言えば、やるべきことは嫌でも頑張ってほしいですよ。でも、もともとコツコツ努力をすることが苦手な子に、それを要求しても無理ですから」
学校の勉強が嫌いでやりたくないのは仕方ない。だから、そこは頑張らなくてもいいから、好きなことだけは頑張ってほしい。「それができたら、大人になってもなんとか生きていけます。好きなことで頑張れるなら、ゲーム動画でもなんでもよかったんです」
泉さんがそう考えたのは、自分の経験があったからです。「高校卒業後、米国留学のために、人に自慢できるくらい猛勉強して頑張りました。その経験と自信は、社会に出たときに私にとって大きな力となりました。だからこそ、類にも“これだけは頑張れる”というものを持ってほしい。それが生きる力になっていくはずだから」

次ページから読める内容
- 親のエゴは邪魔でしかない
- 期待はしない、という覚悟を持つ
- 目標が漠然としていればOKを出しやすい
- 子育ての質は時間の長さには比例しない
- 習い事の代わりに「親子で学ぶ海外合宿」
- 「ブレない子育て」が結実
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