社会と家族、女性をテーマに発信を続けるエッセイストの紫原明子さん。2人の子どもがいるシングルマザーでもあります。離婚するまで働いた経験がなかったという紫原さんに、2人の子を抱えて働き始めた頃の覚悟や、ティーンエイジャーになった子どもたちへの思いを聞きました。

専業主婦からシングルマザーへ

 音楽の専門学校在学中、インターネットを通じて知り合った4歳年上の男性と18歳で結婚した紫原明子さん。結婚相手は後に、史上最年少の29歳でジャスダック上場を果たす起業家・家入一真さんでした。13年続いた結婚生活は、家入さんが起業家として脚光を浴びるのと反比例するように波瀾万丈(はらんばんじょう)続きの日々でした。4年の別居生活を経て、長男が小6、長女が小2のときに離婚。紫原さんはシングルマザーとして女手ひとつで子育てを続けてきました。

 「働いたこともないまま結婚し、出産、育児だけをしてきた自分が、これからシングルマザーとしてどうやっていこうか。離婚したときはその不安ばかりでした」

 まずは、生活を立て直そう。それには、社会で働かなくては。

 学歴も就職経験もない中、知人のつてで採用された会社でアルバイトからスタート。仕事の経験を積むうちに、少しずつ人脈が広がり、文筆家として働くようになっていました。無我夢中で駆け抜けた日々の中で、いつも心にあったのは「絶対に私自身が幸せにならなくちゃ」という思いでした

 「離婚した私が不幸そうにしていたら、子どもたちも悲しい思いをします。そうすると、子どもたちは父親のせいで自分たちはつらい思いをしているんだという被害者意識を持ってしまう。それだけは絶対にイヤ。だから私が幸せになれば、家族みんなが幸せになるはずだと思っていました」

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