どうせなら、家族が笑って過ごせる道を
同時期に子どもが2人とも学校に行くのをやめてしまった紫原家。紫原さん自身も自宅で仕事をするので、期せずして1日中、3人一緒で過ごすことになりました。
「3人でずっと一緒にいると、私もイライラしてしまいました。学校というレールを外れた子どもたちの将来に不安や焦りを感じることも少なくありませんでした」
でも、そのうち「どうせなら、毎日を笑って楽しく過ごしたい」と、心境が変わってきたそうです。
「結局、大事なのは本人がどうしたいか。私の中に『この子たちは大丈夫』という子どもたちへのぶれない信頼感もありました。だったら、子どもが好きなこと、したいことを親として応援するしかない。家族が楽しくいるほうが、ギスギスしながら不安に暮らすよりよっぽどいいと思うんです」
親が人生を楽しんで生きる姿を見せる
家族にはいろいろな形がある。それは紫原さんにとって、プライベートだけでなく、仕事のテーマでもあります。
「コロナをきっかけに、社会は大きく変わってきています。学校も仕事も、レールにのれば安心という時代は終わりを迎えています。子どもにはいろいろな個性があるし、それに合わせた学びや成長の機会が今まで以上に大切になっていくと思います」
大切なのは、周りと比べることではなく、その子にとっての幸せな生き方。親もこれまでの価値観にとらわれず、柔軟に子どもの人生をサポートしていく時代になっていきそうです。
「子育てというのは、親が子どものゴールを決めて、それに向けて頑張らせることじゃありませんよね。その子の個性をどう伸ばしてあげるかが大事。そのときに、親がいつも子ども中心なのではなく、『自分の幸せ』を基準に生きていることが強みになると思います」
人生を楽しみ、幸せそうに生きる姿を見せること。それこそ、親が子どもにできる一番大切なことといえそうです。
取材・文/工藤千秋