60%くらいに肩の力を抜いて

 いつも笑っていられる家庭にしたい。そんな母子3人の暮らしを目指して、仕事も子育ても、全力投球だったと言います。でも、自分で気がつかないうちに、頑張り過ぎていたのも事実。無理がたたって、2度も倒れてしまったのです。

 「そのとき、ひとりで全部を完璧に頑張るなんて無理なんだと、つくづく分かりました。頑張り過ぎて自分が倒れても頼れる人がいないのがシングルマザーです。だからこそもっと肩の力を抜いて、6割くらいの力加減で生活を回すことが大切なんだと気がつきました」

 仕事、子育て、家事をその時々で優先順位をつけて、無理なくこなす。そう考え方を切り替えた紫原さん。子どもたちの世話に十分時間や手間をかけられないこともありました。

 「正直、今、当時のことを振り返ると、もう少し子どもたちとの時間を持てたらよかったなと思わないわけではありません。でも、やっぱり、あの頃はそれが精いっぱいでした。

 そもそも私が罪悪感を抱いてしまうと、子どもたちにも伝わってしまいますよね。母親が自分たちの犠牲になっていると感じてほしくなかったから、あえて後ろめたさは感じないように、自分で自分を奮い立たせていたんだと思います

 忙しい紫原さんに代わって、子どもたちに寄り添ってくれたのは、仕事仲間や友人たちでした。離婚はしても、子どもたちは父親とも良好な関係のまま。そんなふうにいつも周りに支えてくれる大人たちがいたといいます。

 「家にしょっちゅう出入りしていた友人たちは、子どもたちにとって親より心を許せる存在だったようです。そもそも、うちの子たちは超マイペース。多少、放っておかれたほうが、本人たちにとっても居心地がよかったのかもしれませんね(笑)」

それぞれマイペースで自分の世界を持っている子どもたちと
それぞれマイペースで自分の世界を持っている子どもたちと