理想の母親に縛られず、“引き算”の子育てを
長いようで、あっという間の子どもとの時間。毎日、子育てに奮闘しているママにとって、この一瞬一瞬こそが人生の宝物です。だからこそ、完璧な理想の母になろうと頑張りすぎないで、と大平さんは語りかけます。
「誰だって子どもはかわいいし、子育てにのめり込んでしまうもの。でも、子育てで大事なのは『引き算』。本当においしい野菜は焼いて、塩とオリーブオイルだけで食べるのが一番なのと同じです。そんな引き算の子育てが、子どもにとってもちょうどいいんだろうと思います」
また、大平さんは自身の体験から、「ダメな親」を見せたほうが、親も子もラクになれる、とも言います。
「私は本当にダメな親で、子どもの大事なときはいつも寝坊。長女の大事な定期試験でも寝坊して、学校に『保健室で遅刻扱いで受けさせてもらえないか』と泣きついたこともありました。長男のときは、高校の卒業式で在校生代表として送辞を述べる立場だったのに、やっぱり寝坊。式の途中に駆け込んで、なんとか間に合ったけど、子どもたちにしてみたら、アテにならない親だったはず(笑)。食事作りにしても、私はいつも、チンした冷凍ご飯を、保存容器からお茶わんにひっくり返して出すだけだから、四角いままなんです。息子が友だちの家でごちそうになったとき、ご飯が茶わんにふんわり盛られていたって、驚いていたくらいですから」
でもね、と大平さん。
「私がダメな親だって知っているから、子どもたちがその分しっかりしてくれた。開き直っているわけではありませんが、それでよかったんじゃないかな、と思うんです。母親が自分を理想の母親像に縛り付けるのをやめたら、すっと肩の力が抜けて、素直に親子の時間が楽しめると思いますよ」
大人になった子どもたちと久しぶりの家族旅行へ
1年半前、大平さんたちは、長男の大学卒業を記念して、久しぶりに家族4人でタイ旅行へ行きました。「4人で出かける旅行は最後かもしれないから」と、長男が提案してくれた旅は、相変わらず大笑いしたり、本気のケンカをしたりだったそう。それは20年以上かけてつくってきた、飾らない家族のカタチそのままです。
たくさん失敗しながら、泣いて笑って、少しずつ本物の母になった大平さん。その子育ての年月は、家族みんなの心に、あたたかく刻まれています。
取材・文/工藤千秋 写真提供/大平一枝
※本コラムは、『日経DUAL』と、日経BPが発行する無料のリクエストマガジン『ecomom(エコマム)』との共同企画でお届けします。大平一枝さんのインタビューは『ecomom』2019年夏号(6月28日発行)でもお読みいただけます。また、大平さんの著書『新米母は各駅停車でだんだん本物の母になっていく』を『ecomom』2019年夏号で3名様にプレゼントさせていただきます。『ecomom』を入手するには下記よりご登録ください(配送料、購読料無料)。
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