今回も、前回に続いて、41歳になった頃にADHD(注意欠陥・多動性障害)ではないかと気づいた武田さんのお話です。武田さんご自身の経験と共に、ADHDのお子さんを持つ親はがどのように接していけばいいのかといったアドバイスなどを伺いました。

一番つらいのは「自分を責める」こと

日経DUAL編集部(以下、――) 前回、小学校高学年くらいから友達とうまくいかないことが増えてきて、今思えばつらかったのだろうけれど、当時は悩むことはなかったというお話を伺いました。もちろん個人差はあるとは思いますが、小さいころは、ADHDであることからくる「生きづらさ」のようなものを認識することはないのでしょうか?

武田双雲さん(以下、武田) 自分の経験からすると、小学生の頃はあまりなかったと思いますが、中高生になってからつらいと感じるようになる人もいると思います。僕の場合は両親が僕の存在をいつも肯定してくれていたからよかった。誰でもそうだと思いますが、何が一番つらいかと言えば、「自分を責めること」だと思うんです。自分を責めるようなことがなければ、まあ大丈夫。でも、自分を責める時って、だいたい誰かに責められている時ですから。結局、ダブル責めになってしまって、とてもつらい状況になります。

 僕も中学の頃は学校の先生に怒られるし、友達にもあきれられて嫌われました。バカにされたり無視されたりもしたけれど、自分を責めることはなかったんです。「オレは(私は)ダメだな」と思い始めたら、本当につらくなると思います。

 ADHDであることを自覚しないまま悩んでいる子どもたちに伝えたいのは、「自分を責めることだけはしないでほしい」ということ。そこだけは死守してほしいですね。親の皆さんはそうさせないように存在を肯定しつつ見守ってほしいと思います。