オーガニック子育てをすると、子どもも親もハッピーに

武田 僕はオーガニックの食材を使ったカフェをやっているので、全国の農家を回って色々話をします。オーガニック野菜の栽培を始めても、多くの人が待つことができなくて農薬をまいてしまうそうです。5年くらい我慢して待てば、いい土ができる。いい土ができると、虫と根っこと菌が会話を始めて、最高の野菜が育つようになる。農薬をまいたり成長ホルモンを使ったりすることなく、最高のモノができるんです。しかも、オーガニックのおいしい野菜だから高く売れる。だから、5年我慢して成功したオーガニック農家の人たちは、みんな自然に感謝していて、幸せそうなんですよね。

 子育てにおいても同じことが言えると思います。子どもが育つ下地をジックリ作ってあげるような、いわば“オーガニック系子育て”をしている親というのは、みんなハッピーなんです。子どもは自分でやりたいことを見つけて学ぶようになるし、勉強だってガミガミ言わなくても「子どもが勝手に勉強しちゃうんです」といった話をよく聞きます。

—— 最高の状態ですね。

武田 実は、僕の長男もそういう感じです。僕が一緒に遊びに行こうと誘っても、「今日は勉強するから」と断られたり、「塾に行きたい」と、自分で塾を探してきたりするなど、自主的に勉強するようになりました。そうなったのは、やはり、オーガニック系子育てをしてきたからだと思います。いっさい、長男に対して何かを指示したことがないし、長男は自分がやりたいこと、興味のあることしかやっていないですから。ゲームにハマっていた時期もありましたが、最近は何かを学ぶことが楽しいようです。

—— 子どもはもともと知りたいとか学びたいといった本能があるから「勉強することは楽しいことだ」と自分で気づくまで待つのが大事、ということなのでしょうか?

武田 そうだと思います。それには、安心感を与えてあげることがとても重要だと思います。「ほかの子に遅れをとらないようにあれやれ、これやれ」とせっつくのでなく、安心して「自分がしたいと思うこと」に没頭できる状況を与えてあげれば、子どもは「今、この瞬間」に意識を集中するようになる。いわゆる「マインドフルネスの状態」が得られるということです。そうすると、子どもはいつも楽しい気持ちで過ごすことができるし、自己肯定感も培われます

 自己肯定感を培った子どもというのは、自ら育ち、シッカリ自立できるようになっていきます。楽しいコトやモノを見つけて自らポジティブに学ぶようになり、自分の人生をシッカリ生きるようになる。人の指示で動くのではなく、自らの意志で動くようになると思います。

—— 2020年の教育改革で思考力・判断力・表現力のほか、自ら学びに向かう力を付ける教育へとシフトしていくなか、子育て中の親はわが子をどう育てていくべきなのか悩みますが、そのあたりにヒントがありそうですね。