敢えてじらすことで、子どもの興味がマックスに

武田 異様な雰囲気に気づいた長男が「何やってんの?」とやって来ました。そこで、「いや、歯磨きなんだけど、子どもにはまだ教えられないかな。縦磨きとか横磨きとかイロイロあるんだけど、3歳にはまだ早いからなぁ……。ゴメン、これはオトナの時間だから、あっちに行っててくれるかな……」などとジラしていると、「僕にも教えて!」となるわけです(笑)。

 子どもの興味がマックスになったところで「しょうがないな」と、しぶしぶといった感じで、歯磨きの方法を教えると、「ありがとう! パパ!!」となって、以来、全力で歯を磨くようになりました(笑)。このように、親が発想の転換をして、遊び心を持って有効な方法を見つけることができれば、子育てはもっと楽しくなるのではないかと思います。

—— 子どもが自分から楽しんでやれる方法を探すということですね。簡単なようで、それがなかなか難しい…。ヒントはありますか?

武田 僕が思うに、多くの親はモチベーションについて、少し勘違いしているのではないかと思うんですよ。報酬系のモチベーションってあるじゃないですか。年収が多くなるとか、何か山頂を目指すとか。何かの報酬を得るために頑張り続けられる子どもならいいのですが、何か報酬的なものを手に入れてしまうと、燃え尽き症候群みたいになってしまうこともあるかもしれません

 親がコソコソと楽しそうに歯磨きをしているから一緒にやりたくなる。教えてもらってうれしいし、楽しいと思う。そこからやがて、歯磨きはやらなきゃというふうになる。こんな流れが作れたら、報酬系のモチベーションよりよほど効果が長続きするのではないかと僕は思います。

 いったん、歯磨きするようになったところで、子どもが「今日は歯磨きは面倒臭い」と思う日もあったりして何度もエラーは起きます。ですが、必ず「歯磨きをしないと気持ち悪い」と思うようになる。人って歯磨きがしたくなるものですから。そうなるまでジックリ待ってあげないと。毎晩のように「歯磨きしなさい!」と怒るだけでは逆効果になってしまいます。これは歯磨きに限らず、何に関しても言えることではないかと思います。

—— じっくり待ってあげるというのが、なかなか難しいところですが。