この時期、親の役割をマジメに考えるのはつらい

―― ポジティブに毎日を過ごすためのアドバイスは他にもありますか?

武田 とにかく頭で考えすぎないことですよね。ネガティブになりがちな今こそ、親が無邪気にダメ親になってみたっていい。大人をやめて子どもに戻る。しばらく親という鎧を脱いでしまいましょう。マジメに親の役割を考えているだけではつらいので、そこの部分は手抜きをしいてもいいのではないでしょうか。

 例えば、楽しそうに毎日歌いまくるとか、気持ち良さそうにルンルンで歩く、鼻歌を歌いながら家事をするとか、何でもいい。とにかく、頭で考えないで身体を使って意味もなく明るくなれる楽しい動きをするんです。こんな状況でポジティブになろうとしても難しいからこそ、やってみるといいんじゃないでしょうか。

 ちなみに、僕が子どもと最近よくやってるのは、タコ踊りです(笑)。まったく無意味にヘンな踊りをするだけなんですけどね。あとは、無駄にモノマネをするなど、とにかく子どもとゲラゲラ笑いながらできるおふざけをやる。親としてちゃんと接するということとは正反対のことで、ただただ、たわむれるだけ。なんだか笑っちゃうような動き、楽しそうな動きをすることって、意外に重要だと思うんです。

自分を責めないで、自分を愛そう

―― どんなに環境が変わっても、目線を変えると違ったものが見えてくるんですね。

武田 そうですよね、子どもたちにとっては、「試験もなんにもない」っていう、まさにゲゲゲの鬼太郎の妖怪の世界ですから。心のどこかには、学校に行きたくなくてずっとダラダラとのび太みたいに「1日中寝ていたいんだ~!」みたいなのがあったワケで、それがやっとかなった、みたいなね。

 こんなときこそ、堂々とのんびりして、養生しましょう。誰もがそうはできないと思いますし、できる限りでいいと思います。休んで養う。しっかり休むと、今までのたまっていた疲れやストレスがなくなり、ホンモノのヤル気が出てくることでしょう。より強いモチベーションが湧き上がってくるまで、みんなで堂々とサボればいいと思います。

 そして強く言いたいのは「ご自愛ください」ということ。自分の人生をより良いモノにしていきたいのであれば、自分を愛しましょう。自分を責めないで、悪いことはみんなコロナのせいにして、自分を愛しましょう。自分を愛していると、周りの人を愛せるようになります。社会を愛するためにも、まずは自分から、ということですよね。まずは自分を愛することから始めましょう!

取材・文/國尾一樹 


武田双雲(たけだ そううん)
武田双雲(たけだ そううん) 書道家。1975年熊本県生まれ。3歳より書家である母・武田双葉に師事し、書の道を歩む。東京理科大学理工学部卒業後、NTT東日本入社。営業職として約3年間の勤務を経て、書道家として独立。音楽家や彫刻家などのアーティストとのコラボレーションや個展など、独自の創作活動が話題となる。大河ドラマ「天地人」をはじめ、スパコン「京」、世界遺産「平泉」など数多くの題字やロゴも手がける。また、世界中からオファーを受け、パフォーマンス書道や書道ワークショップも開催。海外に向けて日本文化の発信を続けている。日テレ『世界一受けたい授業』など、さまざまなメディアに出演し、講演会やイベント出演も多数。『ポジティブの教科書』『「子どもといること」がもっと楽しくなる 怒らない子育て』など、著書多数。二男一女のパパ。