3人のお子さんといつもポジティブに向き合い、ベストセラーとなった『ポジティブの教科書』や、その子育て版と言えるポジティブな子育て本『怒らない子育て』を出版している書道家の武田双雲さん。今回のテーマは、「夫婦円満」です。武田さんが考える夫、妻それぞれの立場で考える夫婦円満の秘訣とはなんでしょうか?また、夫婦だけではなく、家族みんなが円満でいるために必要なのは、日本人が苦手とする「あること」だと語ります。

ひたすら相づちを打つだけでも、妻の機嫌はよくなっていく

日経DUAL編集部(以下、――) これまで、子育てを楽しむためのアドバイスを中心にお話をお伺いしてきましたが、子育て中の夫婦の多くは、ポジティブで円満にいたい気持ちがありながらも、なかなかうまくいかないですよね。武田さんの考える「夫婦円満の秘訣」とはどのようなものですか?

武田双雲さん(以下、武田) 夫婦とはいえ、夫か、妻かによっても大きく変わってきますよね。男性であれば、とにかく妻と話をする時には「共感する」ということがとても重要でしょう。僕も含め、男性の多くは共感することがすごく苦手なんですよ。やはり、どうしても理論で攻めちゃうところがあるので、妻が悩みを打ち明けたりしていると、「こうすべきだ」とか「こうしたほうがいい」といったアドバイスをついついしてしまいがち。大上段に構えてアドバイスしようものなら、大変なことになりかねませんよね(笑)。

―― アドバイスが口をついて出て、地雷を踏んでしまう夫は大勢いそうです。

武田 たぶん、世界中の夫が地雷を踏んでいることでしょう(笑)。妻を怒らせている夫の話を聞いていて実に多いのが、「なんでそのタイミングで夫はそんなひと言を言うんだろう?」ということですよね。夫はついついアドバイスしてしまいそうになるところをグッと我慢することが大事。理論だとか自分の知識、経験といったものを披露するのではなく、まずは妻に対して共感することが最優先です。

 夫婦の会話は、夫と妻のキャッチボールですよね。キャッチボールって、ただボールを投げればいいのではなく、ボールを投げるときに距離感などを考え、相手がキャッチしやすいように丁寧に投げるから成り立つんですよね。それと同じですよ。とにかく、まずは相手の立場に立って、共感といいますか同調ですよね。ちゃんと夫婦で同期しないことには会話は成り立ちませんから。

 たとえ、相手の気持ちが理解できなかったとしても、まずは同調しながら聞いてあげる。「へぇ?」とか「そっかー」などと相づちを打つだけでもいいんです。まずは、ちゃんと聞いてあげるところから始めるのがいいと思います。