41歳になった頃にADHD(注意欠陥・多動性障害)ではないかと気づいた武田さんの自身の経験と共に、ADHDの子どもを持つ親はどのように接していけばいいのかといったアドバイスを伺ってきました。今回は、悩みを抱えている親に向けたメッセージをいただきました。

僕なりの解釈は「上機嫌で生きる」

日経DUAL編集部(以下、――) 子どもは親の思い通りに絶対にならないといった点について、さらに詳しくお話しいただけますか?

武田双雲さん(以下、武田) 子育てや自分の人生において、「将来のことをよく考えよう」ということが言われ続けていますが、こんなに時代が変化しているなかで、子どもが将来なりたい職業を考える意味ってまったくないと僕は思っているんです。この先、何が起こるのかなんて、誰にも分からないですから。「だったら、どうするの?」と考えたときの僕なりの解釈は「上機嫌で生きる」です。

 常に心を整えて生きるほうが、未来のことを考えて生きるよりもいい。まずは「心が整った状態」「ワクワクした状態」「感謝している状態」などを、作り出すことが大切です。将来のことばかり考えて、つらくなったり不安になったりするくらいだったら、考えないほうがいいと思います。

 上機嫌で生きるために、与えられた環境のなかで生きる毎日を楽しむことです。それでも楽しめないんだったら、そこから全力で逃げればいいんです。

 今年、わが家はアメリカに移住する予定です。それに向けて家族5人で話し合っていますが、根詰めて話しても気分が悪くなるだけなので、ゆるく楽しく、お互いの立場を尊重しながら会話していくようにしています。そうすると、3人の子どもたちもだんだん話に乗ってくる。将来について話しているのではなく、家族みんながいい感じで楽しくなるために、上機嫌でいられるためにやっていることなんです。

―― 米国移住後、子どもたちの学校をどうするかなども考える必要がありそうですね。