3人のお子さんといつもポジティブに向き合い、ベストセラーとなった『ポジティブの教科書』や、その子育て版と言えるポジティブな子育て本『怒らない子育て』を出版している書道家の武田双雲さんによる人気連載。4回目である今回は、「親子ではしゃぐ時間」が非常に重要である理由や、双雲流ポジティブ子育ての根幹だという「未来の不安よりも、今日の感動に重きをおく」ための具体的な方法について語っていただきました。

子は一緒にはしゃぎ、共感してくれる親の言うことを聞こうとするもの

日経DUAL編集部(以下、――) 前回、双雲さん流ポジティブ子育て論を実行に移すためには、「子どもをただただいとおしむ」ことが出発点であるというお話を伺いましたが、楽しく子育てをするためのアドバイスが他にもありましたら、ぜひお聞かせください。

武田双雲さん(以下、敬称略) 僕がよく感じるのは、皆さん、もっと子どもと戯れる時間を増やしたほうがいいのに、ということ。日本人の大人って、ふざけたり、はしゃいだり、戯れたりすることが苦手な人が多いと思うのですが、幼児期の子どもは、いつも戯れて楽しんでいますよね。子どもは戯れることが大好きだし、親が一緒に戯れてくれたら、とてもうれしいと感じるはずです。

 戯れることが苦手なパパやママも、子どもと戯れる時間が増えれば増えるほど、自然と戯れることができるようになると思います。そうなれば、子育てはもっと楽しくなるし、親子の信頼関係も築かれていきます。子どもは小学生くらいになっても戯れることが好きだから、ひとしきり親子で戯れた後に「勉強もしようね!」と言えば、「わかった!」ってなるはずです(笑)。

父親の積極的な育児・家事の参画を目指し、父親の意識改革を目標に実践的な活動をするNPO法人「スーパーダディ協会(SDA)」による「スーパーダディアワード」で、2度目に当たる2018年度は武田さんが選出された(写真/たつろう)
父親の積極的な育児・家事の参画を目指し、父親の意識改革を目標に実践的な活動をするNPO法人「スーパーダディ協会(SDA)」による「スーパーダディアワード」で、2度目に当たる2018年度は武田さんが選出された(写真/たつろう)

 肝心なのは、「親子の良好な関係性」を何よりも最優先で作るようにするべきということ。子どもは親が一緒になってはしゃいでくれたら、親のことが大好きになるし、大好きな人の言うことは聞くようになるでしょう。

 例えば、そろそろ寝ないといけない時間なのに、子どもがゲームに夢中になっているとします。そこで、「もうゲームはやめて寝なさい!」などと叱ってしまう親がほとんどだと思いますが、叱れば叱るほど、子どもはイラっとして、反抗的な態度を見せがちです。その態度を見て、親は「なんだ、親に向かってその態度は!」となる。悪循環の始まりは、だいたいこのパターンですよね。

 ママだってパパだって、子どものころは同じようにゲームにかじりついていたはずですよね(笑)。なのに親になったらガミガミ叱ってしまう。目的はゲームをやめさせて早く寝かせることなのに、これでは、逆効果にしかなりません。子どもは意地になってゲームを続けてしまうだろうし、「パパ(ママ)は、自分のことなんか分かってくれていない!」と、親子の関係性は悪くなってしまうだけです。

 でも、子どもと戯れて信頼関係を作ることを最優先にしていると、逆の現象が起こります。例えば、子どもがゲームをなかなかやめないのであれば、「お? 楽しそうだね。一緒にやらせて!」と言って、一緒にゲームをやっちゃうんです。「やっぱりゲームは楽しいね!」などと言いながら夢中になってやり続けていると、子どもがふと冷静になり、「パパ、もう遅いから寝るよ!」と言ってくる。そこで、「え? もう寝ちゃうの? もっとやりたいんだけど!」と駄々をこねてみる(笑)。このパターンが、ゲームをやめさせて早く寝かせるという目的に向かうための一番の近道だったりします。