「モンテッソーリ教育の本質への理解さえあれば、子育てはもっと楽しくなりますよ」。そう語るのは、モンテッソーリ教育の第一人者であり、高根学園理事長の高根澄子先生。

 前回は生命のリズムを知るために「発達の四段階」について伺いました。今回は0~3歳の子どもにだけ現れる「敏感期」についてさらに詳しく聞いていきます。

さまざまな敏感期。「バスに乗り遅れる」とは、どういうことですか?

――― 先回、子どもたちの生命のリズムを知るため、「発達の四段階」について聞きました(モンテッソーリ教育「カエルのお母さん」の落とし穴)。 親心からよかれと思って手をさしのべたり、先回りしてお手伝いしてしまうことが実は子どもの成長を妨げてしまったり、子どもの能力を損なってしまうこともあるというお話でした。では実際に、親は子どもに対して、どんな援助をすればいいのでしょうか。

高根: それはやはり、幼い子どもたちだけが持つ「敏感期」の特徴を知ることが近道でしょうね 。マリア・モンテッソーリは医師としての観察と深い洞察力によって子どもたちには生まれてからわずか数年の間のみ持つことを許される、爆発的で大きな能力があることを発見しました。

 「敏感期」とはもともと、オランダの生物学者ヒューゴ・デ・フリースが青虫の観察を通じて、発見した生命の法則を示す言葉です。生まれたての青虫がある一定の期間だけ光に敏感に反応することを捉えて名づけられたものでした。生まれたての青虫が光に敏感に反応するのは、光の先の部分の若葉はやわらかく、消化しやすいためです。青虫が成長し、固い葉も食べられるようになるとその敏感性は失われてしまいます。それは生命の生存に必要な法則といえます。人間の子どもたちに現れるさまざまな敏感期も同様で、その能力の発露は時が経つとやはり、失われてしまいます。

――― 敏感期を見逃すことは「バスに乗り遅れるようなもの」とたとえられるように、子どもの敏感期は、私たち大人が考える以上に短いのですね。

高根: そうですね。幼い子どもたちがほんのわずかな間だけ見せてくれる、その貴重な兆候はある日突然、消滅してしまいます。そのことを嫌というほど思い知らされた、こんな出来事がありました。

次ページから読める内容

  • 0~3歳の子どもの感受性が敏感になるのは、特定の能力を獲得するため
  • 「生命の援助」とは「ひとりでできる」のを手伝うこと

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