非認知スキルの忍耐力、「正座を30分」は筋違い

 ただ非認知スキルそのものはものすごく広い概念で、やり抜く力や集中力、忍耐力も含まれます。当初、注目されたのが忍耐力、集中力だったために、「しつけが大事」と主張する人たちが現れた。

 本来「がまん強さを付けるために正座を30分させる」などという考えは全く筋違いなのですが、悩ましいのが正座を30分させると、おそらく短期的な集中力が付くので、短期記憶を問う試験だと一時的に成績が上がるという結果も出るんですね。これでは「殴られるからやる」という体罰に限りなく近い教育になってしまいます。

 でも、集団で何かに取り組んで拍手を浴びた経験がある、人と折り合いをつける、人前で発表するのが好きといった非認知スキルが高い子のほうが、学力との相関性が高いことが分かっています(参考文献:2018年の文部科学省委託研究「平成29年度全国学力・学習状況調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究」お茶の水女子大学 浜野隆教授)。

 大事なのは、普段は皆の前で発表をするのが苦手な子でも、声の小さい子でも、皆で何かをやって拍手を浴びるという経験、関係性の中で非認知スキルを身に付けることなのです。