「高大接続改革」が小・中学校で教えることをどんどん増やす

 PISA調査では良い結果が出てきていますが、一方で文科省の良心派は今、「15歳の時点では優秀なのに、なぜ日本の大学のランキングはこれほど世界的に低いのか」ということを気にしています。

 ここに関係してくるのが、大学入試を核にした「高大接続改革」。大学入試を変えることで、高校と大学の学びを変えていこうというものです。文科省による解説は以下の通りです。

高大接続改革

グローバル化の進展、技術革新、国内における生産年齢人口の急減などに伴い、予見の困難な時代の中で新たな価値を創造していく力を育てることが必要とされています。高大接続改革においては、高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜を通じて学力の3要素を確実に育成・評価する、三者の一体的な改革を進めることが極めて重要であるとし、これらの改革に向けての取組みを着実に進めています。

※文部科学省公式サイトより

 要は、高校教育、大学教育、それをつなぐ大学入試を一体的に変えていこうという動きのことで、大学入試には「新テスト」が導入され、知識偏重から思考力や表現力が求められるようになります。そしてその前段階である高校教育では、「問題発見・問題解決に向けて主体的・協働的に学ぶ」ために学習指導要領を見直し、アクティブラーニングを導入するなどの改革を行います。

 ただしここにも落とし穴があって、そうはいっても高校からすれば、小・中学校で基礎学力ばかりやっていて、急に高校になってから思考力を育てなさいと言われても、育つわけがないということなんです。

 それで「主体的・対話的で深い学び」を取り入れる年齢がどんどん下がってくるわけです。しかも、小・中学校では「基礎学力」を身に付けなさいとも言われる。もはや現場としては、教えなければならないことがどんどん増えて、何に優先順位をつければいいのか、判断が難しくなる一方です。