未就学の子どもが通う全施設を「学ぶため」の場所と位置付ける

 だからこそ、幼少期の非認知スキルの向上により、格差社会が少し緩やかになるのではないかと、僕は推測しているわけです。

 そのために今後、特に意識しなければならないのが、親が仕事をするために預ける場所と考えられることが多かった保育園やこども園を、今後は「学ぶため」に通わせる場所と、捉えるということ。

 これまでは管轄や法律の違いから保育園(厚生労働省)を「児童福祉施設」、幼稚園(文部科学省)を「教育施設」と位置付けてきましたが、今後は未就学の子どもが通う全施設を「学ぶため」の場所と位置付けていく必要があります。なぜならそれが最終的に、国民全体の学力を上げることにもつながりますし、将来的にニートなどを少なくし、犯罪を少なくし、社会の負担を少なくすることにつながるでしょう。

 ボトムラインを改善していくことが大事だということは、誰もが分かっていることではあるのですが、そこに誰(どこ)が、どうパワー(予算)を注いでいけばいいかというのが課題です。未就学時代の経験が大事だと分かっていても、いまだに待機児童問題も解決していませんし、それどころか保育士の待遇改善ができていないので人員確保すらできていない。一方で、「無償化」の波が押し寄せてきている。

 それなら高いお金を払って「いい保育園」に入れればいいのかというと、そういうことではないですよね。

 国全体のボトムアップのために各家庭ができることは、極端に言えば政治に興味を持つことですが、まずは、各自治体が子どもたちのために何をしているかを知ることも大切です。

 ぜひこれから保育園を探すという方も、既に小学校に通っているお子さんがいらっしゃる方も、お住まいの自治体の教育施策を調べてみていただければと思います。

構成/山田真弓(日経DUAL編集部) イメージ写真/PIXTA