想像しているより簡単に「こうだったら便利」がDIYで実現

 「かつて『日本ではDIYは、はやらない』といわれました。日本は賃貸物件が多く、原状復帰が原則。壁に穴を開けられないなどの制約があったためです。しかし最近は賃貸物件でも使用可能なDIYパーツが増えています」。そう話すのは、整理収納アドバイザーで、平安伸銅工業の3代目社長の竹内香予子さん。

整理収納アドバイザーで、平安伸銅工業の3代目社長の竹内香予子さん
整理収納アドバイザーで、平安伸銅工業の3代目社長の竹内香予子さん

 日本で今ブームになっているのは「家を一戸丸ごと建てようというアメリカ式DIY」ではなく、「気になるところをちょっとした工夫で変えようという日本式DIY」だと竹内さんは説明します。

 働き方改革が叫ばれ、効率的に働いて家庭のために時間を使おうという風潮も追い風になっています。「所得は上がらないかもしれないけれども、コストを抑えつつ、時間を上手に使って家を整えましょう、というのは今らしい価値観なのかなと感じています」

 経営者として多忙を極める竹内さんも、家事時短のために自宅でDIYを取り入れています。「共働きで毎日時間に追われていますが、自分の暮らしに合った小さな仕組みをDIYで作ることで、日々の家事がぐんと楽になりました」。

 竹内さんには2回目と4回目の記事で、DIYの魅力と家事時短のための実例を教えてもらいます。

親が何かを作っている背中を子どもに見せることは大切

 とはいえ、「私は不器用で上手にできないから無理」とちゅうちょしてしまう人もいるかもしれません。

 「人間は誰しも本能的に、『自分の手で何かを作りたい』という願望を持っているはずなんです。ネガティブな感情があるという人は、過去の図工の教育課程で、『私は下手だ』と思い込まされて、嫌いにさせられたのかもしれません」。公立小学校で図工専科教員として30年の勤務経験もある帝京大学教育学部教授の辻政博さんは言います。