育児エッセーマンガ『イクメンと呼ばないで ニブンノイクジ』(マガジンハウス)を出すなど、フツーに育児をするパパマンガ家・小沢高広さん。妻で作画の妹尾朝子さんとマンガ家ユニット「うめ」として、『大東京トイボックス』をはじめ人気作をいくつも手掛けています。日経DUALでのインタビュー記事「ガチ育児パパの子連れお出かけ 親のストレス削減術」が好評につきまして、続編です!

 小沢さんにとって、パパだけでお子さん2人(小学5年の長女と小2次女)と過ごすことは、赤ちゃんのときから当たり前のこと。前回に続いて、使える子連れお出かけのワザやヒントと、パパ育児の現状に思うことを聞いてきました。

 パパが育児をすることをことさら評価する風潮に「薄いハラスメントだと思う…」との言葉に、ハッとする方は多いのでは。合理的思考が光る小沢さんの育児は、参考になるアイデアがいっぱいです。

子どもと一緒にいるときも「自分のストレス軽減」を優先する

日経DUAL編集部(以下、――) 未就学児の親向けにお話を聞いた前回。「子どもを最優先にしない。自分(親)のストレスを少なくする選択を常にしている」との基本姿勢や、パパだけお出かけ時のアドバイスなど、とても参考になりました。

小沢さん(以下、敬称略) 「自分のストレスの総量を減らす」は僕の特徴かもしれません。子育てでも、夫婦間の家事分担でも基本はそう。

―― お子さんと過ごすときに抱く小沢さんのストレスとは、どんなものがありますか?

 

小沢 子どもが小さいときから今もぶつかるストレスといえば…、「食事」ですかね。僕は食べることが好きで、衣食住だと、食べることの比重が一番大きいです。家で料理をするのも僕です。外食する場合は、チェーン系じゃない個人店が好き。ところが子どもは、ファミリーレストランやファストフードなど、僕が苦手とする店に行きたがる(笑)。子連れで行けて、親のグルメ欲求も満たす店って、だいぶハードル高いじゃないですか。

―― 子どもが好む食事と、親のそれとはなかなか合致しない…。

小沢 (妻の)妹尾が仕事で、僕が1人で子ども2人を見る必要があるお昼ごはん。あるときから、「自分は食べなくていい」と考えを変えてから楽になりました。例えば、動物園に出かけて、さて子どもとお昼だとなったときは「ビール飲んでればいいや!」「子どもが残したものを最後に食べればいいや」って。子ども2人の食事に集中することにしています。

―― 親の「これが食べたい!」という欲求は、抑えるべきですか。

小沢 優先度を意識しているんです。子どもが安定して食べることが、優先度のトップ。自分はここで食べられなくても、あとでちゃんとしたものを食べればいい。大人は一食ぐらい抜いても平気でしょう。その分、晩ごはんはおいしいの食べよう、みたいな。小さい子どもにとって食べにくいものを苦労して食べさせたり、子どもが「ギャー!」と騒いだり、走り回ったりするほうが、僕はストレスが大きい。自分が食べないストレスのほうが軽く済むんですよ。

 

―― 子どもに食べさせるものへのこだわりは、特にありませんか。これは食べさせたくないな、とか。

小沢 こだわり過ぎたら、出先で食事なんてできませんからねぇ。ただそれでも最初のころは、ファストフードやファミレスは避けてたんですよ。それが、あるとき潰しが利かなくて子連れで行ったら、もう子どもに優しいし、便利だし、ああ、これはありがたいありがたい、と感謝しきりです。今はもう小5と小2ですから、話し合いですよね。今ではこちらもサイゼリヤで好みのメニューもあるし、子どもも僕が好きなおそば屋さんのざるそばをおいしいと言って食べてます。お互いに好みの店の傾向は知っているので、譲歩し合っています。