ディズニーシーで「池の近くの階段でずっと遊ぶ」をよしとする

―― 「どっちのストレスを取る?」という、判断基準が明確ですね。

小沢 下の子がまだ赤ちゃんのとき、東京ディズニーシーに家族で行ったときこんなことがありました。当時3歳の長女は、ディズニーシーの中央にある池に近い階段を、飽きもせず上り下りしていました。小上がりの階段が、彼女の興味の琴線に触れたみたいで。「シーに来てるのに、この階段で遊ばなくてもいいんじゃない?」と苦笑いしながら聞いたところ、「分かった!」と彼女は納得顔。やめるのかと思いきや、隣にある階段に移動し、嬉々としてまた同じ上下運動をしていました(笑)。

―― 「せっかく来たんだから、満喫しよう!」との気持ちはどうしていますか?

小沢 混んでいるアトラクションに並んで、その間、「私の順番まだ? まだ?」「あと何分?」となってしまうことを想像してみてください。そのストレスとてんびんにかけたとき、機嫌よく階段を上り下りしてくれているほうが、楽でしょう? 欲張っちゃダメです(笑)。子ども自身も気に入ってやっているのだから、むしろ穏やかでいいじゃないですか。

―― 人がたくさんいる場所へお子さんを連れていくことには、おっくうさはありませんか。

小沢 ごく小さなころから、僕1人と子どもとなら自宅から片道20~30分くらいの場所へは、気楽に出かけました。首都圏在住者であれば電車で出かけることも多いでしょうが、「混雑した鉄道の車内」は避けたいですよね。ラッシュ時は乗らない、面倒なら躊躇なくタクシーを使うのはもちろん、JR東日本の公式アプリ「JR東日本アプリ」もよく利用しました。JR東日本が乗車率や遅延情報をリアルタイムで出していて、混雑具合が車両ごとに分かるんです。これは今も使うかな。

―― 電車通勤者向けのサービスとばかり思っていました。使えますね!

小沢 このアプリで混雑した車両が分かれば、空いている車両に乗れます。1本でも2本でも待てば空いている車両が来るなら、待ちます。車内で子どもがぐずったとしても、空いているだけで少しは気が楽ですよね。

―― 父親だけで子どもを連れていることで、嫌な思いをしたことはありませんか?

小沢 お父さんだけで子どもを連れているときのほうが、世間は甘く見てくれている気が、僕はしています。電車移動中も子ども2人連れていたら席を譲ってもらうことは多いし、ごはんを食べに行ったときは、ホールのスタッフの方たちが子どもの相手をしてくれたり。子どもが何かを落としても手伝いに来てくれたり。少なくとも僕は、電車移動でも何でも、僕1人で子どもを連れていることで嫌な思いをしたことはありませんよ。

―― そうですか!

小沢 父親だけの子連れで困るのは「ハード」の部分だけ。オムツ交換台が男子トイレにないとか、ミルクを作るのにお湯が欲しいけれど授乳室にしかお湯がなくて男性が入れない…とか。

―― そんな環境面の事情について、どう感じますか?

小沢 誰でも使える多目的トイレが増えたり、ここ10年ですごく改善されたと思います。とはいえ、「父親が育児する」ことに対して、社会の意識や環境はまだまだハードルが高い。社会からお父さんがまだうっすらと差別されているようには思います。

―― 具体的に、どういった点ですか?