子どものおかげでプラスもマイナスも世界が広がっている

 僕たちも初めての子で、同じ年齢の子の成長がどんなものなのかも分からない。きょうだいもいないので、リンクにはいろんな子と遊ぶことも大事だからと、連れて行くようになりました。3人で行くこともあるし、ぺこりんとリンクが母子で行くこともあります。

 僕もぺこりんも人見知りで、はじめはなかなか人に心を開けませんでした。それが、支援センターで出会うママやパパと、「何カ月ですか?」「支援センターはここが初めてですか?」から、「今度ピクニックに行きたいですね!」とまで話せるようになりました。

 こんなふうに人間関係が広がることは、想像できないことでした。今まで人見知りを理由に作っていた壁を自然に越えることができました。ぺこりんとも、「リンクが生まれる前には、支援センターに行ってほかの親御さんと交流するなんて、想像できなかったよね!」と喜び合っています。

 僕も成長しています。

 広がった世界はプラスの面ばかりではありません。マイナス面は例えば、ベビーカーを押すようになり、いつも使っていた駅のエレベーターがこんなにも離れた場所にあると知ったり、子どもの存在が歓迎されない場所を知ったり、でしょうか。

 マイナスもプラスも含めて、「子どもが自分たちの世界を広げてくれている」。この実感によって、親と子とは主従関係ではない。一緒に成長していくという「横並びの関係」ととらえるほうがしっくりくるようになりました。

 「親として子どもに教えてあげないと」と思うのは、傲慢だったと気づきました。親がムキになってあれこれ働きかけなくても、子ども自身の中に成長する力があるんですよね。

 僕は沖縄育ちで、ぺこりんは大阪育ち。東京での現代の子育ては分からないことだらけ。手探りの毎日ながら、新しい経験を踏み出したり、失敗したりもして「親子で一緒に育っていこう」と力を抜けるようになってきています

(取材・構成/平山ゆりの、バナー撮影/加藤 康、インタビュー撮影/坂齋清)