愛する存在だからこそ、臆病になる。「しゃっくりが止まらないけど苦しくないのかな」「静かに寝ているけど、呼吸止まっていないかな」。不安を抱えはじめると、止まらなくなる。

 僕だって様子がちょっと違うように感じたら、「病院行ったほうがいいかな……」と思っちゃいます。

 視野が狭くなってパニックになったとき、その場に第三者がいるだけで、心の余裕が全然違う。

 僕が「リンクがちょっと驚いただけだよー」と一言声をかけるとか、お義母さんが「そんなに心配することちがうで」と言うだけで心強い。一呼吸ついて余裕が生まれたら、冷静になれるんです。

親がけんかする姿は決して子どもに見せない!

 子育てを経験した人が近くにいてくれるのは、僕もすごく心強い。特にお義母さんの子育ては尊敬することが多くて。

 ぺこりんは子どものときも大きくなってからも、両親がけんかしている場面を一度も見たことがないんです。ご両親は、夫婦げんかをしなかったわけではありません。子どもに一切見せなかったんです。

 お義母さんに聞くと、愛で震える返事が返ってきました。

 「だって、子どもは関係ないやん。見せる必要ないやん!」と。

 頭では分かっていても、実行するのは難しいでしょう? 僕らも、リンクが生まれる前は胸ぐらをつかみ合うけんかをしていました(笑)。

 親がけんかする姿を見ると、子どもは傷つきます。僕がそうだったから。

 両親が大きな声で罵り合うのを見ていた。両親が離婚したのは僕が3~4歳の頃ですが、けんかしていた様子は記憶に残っています。父のことも、母のことも嫌いになれず好きだったし今も大好き。だからこそ傷つきました。

 お義母さんのまっとうな姿勢に感動しました。僕たちも取り入れています。

 夫婦間でいら立ったり、カッとなって大声で伝えたくなることは、あります。その瞬間の感情を抑えたくない、フレッシュな気持ちを伝えたい思いもありますが一旦保留して、リンクが寝てから静かに話し合います。どうしても腹が立つことは、数時間空いても忘れませんからね(笑)。

取材・構成/平山ゆりの 撮影/加藤 康