貯蓄2000万円以上の道を歩むべく、生活デザイン株式会社代表の藤川 太さん、生活設計塾代表の内藤眞弓さん、マイエフピー代表取締役の横山光昭さんという3人の敏腕ファイナンシャルプランナーに家計の見直し方を聞いた特集第5回に続き、今回は1段階レベルアップ。「住宅ローンは繰り上げ返済」「老後の資金の貯めどき」「投資」について、聞いていきます。

【私たち、こうして2000万円貯めました!】
(1) 読者25%が2000万貯蓄 年150万以上も36%
(2) “2000万円貯蓄済み読者”の貯めワザ公開!
(3) 家族旅行好き2000万貯蓄ママ 子2人高校も公立
(4) 夫婦のお金は一括管理しなくてもOK カギは教育費
(5) 保育園時代は貯めどきではない? 保険の見直しも重要
(6) 貯蓄だけではもったいない FP直伝お金の増やし方 ←今回はココ

 特集第4回で紹介した「貯めベタ家計を2000万貯蓄家計へ変える10の疑問」の中から、今回は[8]~[10]に当たる疑問に答えていきます。

 まずは「住宅ローンは繰り上げ返済すべき」かどうかについて、読者の疑問とともに見ていきます。

[8]住宅ローンは繰り上げ返済すべき?

住宅ローンの繰り上げ返済で苦しい

 FPに相談しながら、ローンの返済は必要経費として年間予算に組み込み、家計の余剰金を繰り上げ返済に充てられるよう、通帳を分けて管理しています。住宅ローンを早く終わらせるほうが、今ぜいたくするより、豊かに暮らせると信じて節約していますが、この方針は正しいのでしょうか?

(年中・小5/45歳ママ/世帯収入600万~800万円/世帯貯蓄300万~400万円/年間貯蓄40万~50万円/持ち家戸建て/返済月5万~10万円/返済苦しい/家計の余剰金を繰り上げ返済/家計は合算管理)

繰り上げ返済したお金は戻ってこないが、貯めたお金は自由に使える

内藤眞弓さん
内藤眞弓さん

 住宅ローンの「返済予定表」を眺めていると、繰り上げ返済をして元金を減らしたほうが利息が減るし、返済期間も短くなるので良いように感じてしまいます。

 これに対し、内藤さんは「この読者の方のように、貯蓄額が1000万円に届いていない場合、しばらくはしないほうがいいと思います」と言います。

 「300万~400万円は、失業や病気への備えとしての最低限の貯蓄額なので、この状態で繰り上げ返済をしていて貯蓄に回せない状態だとすると、これから中学、高校と進学に伴う子どもの教育費がかさむ時期に入り、ますます貯蓄が難しくなります」(内藤さん)

 繰り上げ返済すると、その時点の金利で再度計算されるわけですが、組んでいるローンによっては、変動金利でかえって返済額が増えるケースもあります。またそもそも今は金利が低いため、繰り上げ返済によるメリットが少なめ。

 「何事も起きなければいいのですが、何かあった場合に貯蓄がないとすぐに困窮してしまう。例えば夫名義でローンを組んで団体信用生命保険に加入している場合、万が一のことがあると団信からローン残高と同額の死亡保険金が支払われるので、ローンが無くなりますが、貯蓄を諦めてローン残高を減らしていると、ローンが無くなっても貯蓄がない分、困りますよね」(内藤さん)

 また、貯蓄が1000万円になったら繰り上げ返済してもいいというわけではありません。「そのときの子どもの年齢、教育費がいくらかかるのかにもよります。45歳で小5と年中となると、やはり今は貯めるとき。繰り上げ返済したお金は戻ってこないけれど、貯めたお金は自由に使えますから」(内藤さん)

 では繰り上げ返済をしてもいいのはどんなケースでしょう。

<次のページからの内容>

● 繰り上げ返済していいケースは?
● 老後の資金はいつ貯めるのが正解?
● 老後資金にも教育プランが関係?
● 投資は控えるべき?
● 「貯める」と「増やす」を同時にする心構えは
● 退職金での投資には要注意!
● 3人のFPが考える「貯めコツ」とは