職場でのハラスメントに関する読者アンケートでは、パワハラに遭ったことがある人は70%以上、セクハラに遭ったことがある人は56%に上りました。特集第3回では、この結果やアンケートでのコメントを踏まえ、企業のコンプライアンスやリスクマネジメントを専門とし、企業内のハラスメント防止体制の構築や運用への助言を行っている弁護士の五味祐子さんにハラスメントの被害者になったときの対応法について聞いていきます。

【セクハラ・パワハラ・マタハラをなくす 特集 】
(1) 7割がパワハラ被害経験 セクハラは3割「相談せず」
(2) 被害者は無関心にも傷つく 周囲ができることは?
(3) ハラスメント証拠なくてもまず相談 弁護士に聞く ←今回はココ
(4) ハラスメント放置は経営にもリスク 企業の取り組み
(5) 「親から子へのハラスメント」も根っこは同じ

 「職場でのセクハラ・パワハラに関するアンケート」(2018/7/3~7/31実施)の回答者は141人。女性83%、男性17%、回答者の平均年齢は40.2歳でした。78.0%が正社員と回答しています。

「会社は君を守る」、過半数が「信じられない」

 今特集で実施した読者アンケートでは、回答者の7割がパワハラの被害に遭ったことがあると答えていました。上司から長期間パワハラを受けてきたという女性はこのようなコメントを寄せてくれました。

・パワハラを長期間我慢してしまったために、精神的に追い詰められてしまった。その結果、職場を変わることになり、その後、後遺症により職種も変更せざるを得なかった。社会人としてある程度の我慢は必要だが、度を越していると感じたなら、追い詰められる前に第三者に相談したほうがいい

 上記の方は職種を変わったり、後遺症が残るなど、ハラスメントによって人生が変わってしまいました。そして、度を越した場合は相談するということの大切さに触れています。

 相談先として社内には人事、法務など社内のパワハラ窓口があります。しかし、「あなたの上司や職場の相談窓口でハラスメントについて『正直に言ってほしい』『会社は君を守る』と言われたとしたら信じられますか」という問いに対して、イエスと答えた人は、29.1%。一方、ノーと答えた人は、66.7%にも上りました。その理由としては、次のようなコメントがあります。

秘密を守る約束で話したことが広く知られていて嫌だった。信じられない

・言っても守られた実績がほぼない。特に加害者が管理職だったり、役員に近い存在だと、相談した側が不当な異動などをさせられる他の実例を見てきた。

・実際に、対策委員会の長へ、ある女性職員からセクハラを訴える手紙が提出されたときに、「この件は取り扱わない」と返された場面を目にしたことがある。

・言ってくれた人の気持ちは本当だとしても、組織が大きすぎて一人の気持ちではどうにもなりません。縦社会の中で、私の発言がきれいに上がるとも思えません

・パワハラを相談した人がいたが、相談窓口から、パワハラをしていた人の上司に報告が入り、その上司がパワハラをしていた人を呼び出して事実確認や更生プログラムの受講をさせた。その経緯が周りに筒抜けで、誰が相談したかも広まってしまった。相談窓口としては、相談内容を漏らしていないが、相談後の体制が信用できない。

・担当の過去を見て、対応を見て、信頼に値するか判断したほうがいいです。総務人事はむしろ、こちらの人格を損なうような発言をしたので信頼していません。数年前に総務で産休を取ろうとした女性に、「よそでパートしたほうが子どものためだ」と辞めさせようとすることもありました。労働組合は、親身に話を聞いて共感し、総務人事にコンタクトを取ってくれたので信頼できました。産業医も、今時有り得ない上司で異動すべきと判断してくれたので、私としては信頼に値します。
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 ノーと答えた理由で最も多く見られたのが「いくら相談窓口とはいえ、所詮は『会社側』の機関だから」という内容でした。会社の相談窓口を信頼できず、労働組合や産業医に相談した人もいます。相談先としては他に、社外の弁護士、労働局、労働基準局、産業医などもあります。相談したことで、良い方向に向かったというコメントを見てみましょう。

次ページから読める内容

  • 社内外の窓口に相談して改善することも
  • 自分の記録、メールも証拠になる。諦めずに相談を
  • 逆恨みを予防するために誓約をさせる場合も
  • ハラスメントとは何かの明文化で相談・解決がしやすくなる

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