いつかやろう、今度こそ勉強しよう…常々そう思いながらもなかなか機会がない、始めても3日坊主で終わってしまうもの。その最たるものが英語でしょう。

 小学校での教科化も間近に迫る中、これからのグローバル社会を生きる子どもたちにとっても、英語はいよいよ必須のスキルとなりつつあります。ビジネスでも英語を使ったコミュニケーションを求められる場面は今後ますます増えていくでしょう。そんなときに、仕事の内容そのものではなく、「伝える手段」に自信がないばかりに与えられた機会を逃すようなことがあってはあまりに惜しい! 今こそ本気で英語に向き合い、子どもにも頑張る親の背中を見せませんか?

 何かを習得するには、ただやみくもに取り組んでも成果は上がりません。そこでこの特集では、忙しいデュアラーが限られた時間を有効に使って実践的な英語スキルをどう身に付けるべきかを考えていきます。特集第3回となる今回は、日本人1万人に英語を教え、『最低限の単語力でもてっとりばやく英語が話せる』(ダイヤモンド社)など、累計で400万部にも上る数多くの著書のあるデイビッド・セインさんに、なぜ日本人は英語が苦手な人が多いのか、その根本原因からお聞きしました。そのうえで、日本人が最も“てっとりばやく”英会話が上達するその秘訣についても教えていただきました。

【忙しい人限定! 本気のオトナ英語特集】
第1回 “時短”かつ効果も高い「最強の英語学習法」とは
第2回 外資系ママが公開 超集中!実践英語スキルの磨き方
第3回 デイビッド・セイン 英語習得の秘訣は「脳内留学」 ←今回はココ
第4回 合理的な言語習得には「大量のインプット」が不可欠
第5回 編集部員が敢行 外国人ワーママに英語インタビュー

日本人に最も足りていないのは“インプット”

 日米会話学院などで約30年間にわたって、1万人以上の日本人に英会話を教えてきている、米国出身の翻訳・通訳者、デイビッド・セインさん。日本で英語学校も立ち上げ、その校長も務めています。セインさんは、その長年の経験から日本人がなぜ英会話に苦手意識を持つのかということについて、「“知識”はあるけれど、“コミュニケーション”が不足している」と指摘します。

デイビッド・セインさん
デイビッド・セインさん

 「日本人は、基本的に中学から6年間英語をしっかり勉強して、大学受験で英語の難しい問題を解いているはずですよね。それなのに、英会話になると苦手だ、話せないという人が実に多い。それは、英単語も英文法も“知識”としての英語はたくさん知っているけれど、“コミュニケーション”としての英語を知らないからだと思います。スピーキングや生の会話をリスニングすると途端に苦手意識を持ったり、何も話せなくなったりしてしまうというのは、受験勉強の弊害といっていいと思います」

 セインさんによると、日本で学ぶ5文型といわれる英文法は、実は100年以上昔に、C.T.Onionsというイギリスの学者が考え出したものがもとになっているそうです。「教えるための英語」としてはよくできているものの、「実際の英語でのコミュニケーション力を身に付ける勉強法としては適していない」とセインさん。

 一方で、スピーキングやリスニングは苦手でも、日本人はリーディングが比較的得意な印象があります。でも、セインさんは「日本人が英文を読むときは、ゆっくりゆっくり訳しながら進めるので、あまり楽しくないし、効果的ではないと思う」と語ります。

 「例えば、面白い2時間の映画を、ゆっくりゆっくり6時間かけて観ても、面白さは伝わらないですよね。それと一緒で、英語をゆっくりゆっくり訳しながら読んでいたら、英文を楽しむことができませんし、何よりコミュニケーションにつなげることもできません。日本人が英語を上達させるには、まずは“インプット”が必要です」

 英語は「読む、聞く、書く、話す」の4技能といわれますが、セインさんは「本当は2技能、つまりインプットとアウトプットの2つなんです」と言います。

<次のページからの内容>
●日本人の英会話力向上のためには、英語は受験科目から外れたほうがいい
●英語を格段に上達させる“脳内留学”のススメ
●ビジネスシーンでも気楽に。勉強法は「英文を読みまくれ」
●気軽に“opinion”をどんどん話す意識を
●日本語でも練習できるopinionは、子育て中から習慣付けて