外資系企業で日常的に英語を使う仕事をしていると聞くと、帰国子女や長期海外留学経験者で、初めから英語が堪能な人を想像しがちです。でも実際は、社会人になってから本格的に英語を勉強し、キャリア形成や仕事の成果につなげている人たちもいます。そこで、外資系企業に勤務するワーママ3人に、隙間時間を活用した効率的かつ実践的な「オトナ英語」の学習ノウハウ&体験を語ってもらいました。

【忙しい人限定! 本気のオトナ英語特集】
第1回 “時短”かつ効果も高い「最強の英語学習法」とは
第2回 外資系ママが公開 超集中!実践英語スキルの磨き方 ←今回はココ
第3回 デイビッド・セイン 英語習得の秘訣は「脳内留学」
第4回 合理的な言語習得には「大量のインプット」が不可欠
第5回 編集部員が敢行 外国人ワーママに英語インタビュー

座談会参加者(写真右から)

横塚知子さん デル株式会社 コンシューマーマーケティング部 部長
アメリカ人の夫、11歳と7歳の娘の4人家族。12年前に入社したときの英語力は「自分の名前しか言えなかった」。5年前に奮起し、スパルタ英語塾で文法からやり直す。毎朝5時から30分間のオンライン英会話を欠かさない。

堀千晶さん ヤンセンファーマ株式会社 セイフティリスクマネジメント部
夫、2歳の娘の3人家族。医薬品の安全性に関連する部署にいるため、英語の医学論文を読んで正しく評価することが求められる。社内の異動、昇進ではTOEICスコアが判断基準のひとつになるため、点数アップに目的を絞った勉強もしている。

黒田雅代さん BASFジャパン株式会社 ニュートリション&ヘルス事業部
夫、中学1年の娘、5歳の息子の4人家族。新卒入社した製薬会社で配属された部門がBASFに買収され、外資で働くことに。一時期はTOEICのスコアアップを目指していたが、現在は語彙力とスピーキングに絞って学習している。

英語レベルは「普通以下」。自分の名前を言うのがやっとだった

日経DUAL編集部(以下、――) 今日はお忙しいところお集まりいただきありがとうございます。初めに、皆さんのお仕事内容と、普段どのように英語を使っているのかを教えていただけますか。

黒田雅代さん(以下、黒田) BASFはドイツの総合化学メーカーで、私は医薬品の添加剤を扱う営業をしています。お客様からの要望やクレームは英文のEメールでドイツの本社に送り、行き詰まると英語で電話会議ということも。また、チームは全員日本人ですが、英語のブラッシュアップを図ろうという事業部長の方針で、部内のメールも極力英語でやりとりすることになっています

堀千晶さん(以下、堀) ヤンセンファーマはジョンソン・エンド・ジョンソングループ内の日本国内での医療用医薬品を扱う会社で、私は製品の副作用情報を集めて検討し、安全対策を取るといった業務を行っています。仕事では製品に関わる世界中の医学論文を読んで正しく評価することが求められます。英語を使った海外とのメールや電話会議、プレゼンテーションをする機会もあります。

横塚知子さん(以下、横塚) デルには12年前から勤務しています。現在は部長職で、英語は毎日かなり使いますね。私の担当は日本のマーケティングですが、基本的な資料作成はすべて英語で行い、会議などグローバルでのやりとりも英語です

 ちなみに私は夫がアメリカ人で英語、日本語、中国語のトリリンガル。長女は小学4年生までは中華系のインターナショナルスクール、今年からは英語のインターナショナルスクールに通っています。子どもはやっぱり吸収が早くて、最近では私の英語をチェックしてくれています(笑)。

―― 皆さんはもともと英語が堪能だったわけではないのですよね。勉強を始めるきっかけは何だったのでしょうか。

横塚 いつか海外で暮らしてみたいという気持ちがありながら、一旦社会人になってしまうと、なかなか仕事の途中で留学には踏み切れないですよね。それならばと海外で働くことを考えて、最初はデルの中国法人に採用されました。でも当時の私の英語レベルは普通以下。自分の名前しか言えないくらいでした

 入社当時はまだ英語をそれほど使わなくても済んでいましたが、5年ほど前から社内にグローバル化の波が急速に押し寄せてきて。会議の場に外国人が当たり前にいるようになり、「分からなかったら人に聞けばいい」では済まされないことを実感して、本格的な勉強を始めました。

黒田 私も英語を使って仕事をすることが夢だったのですが、新卒で入社したのは日本の大手製薬会社。でも、人生何が起きるか分かりません。所属していた部門がBASFに買収されたのです。その後、ドイツ本社に数カ月間駐在することが決まって、短期集中の英会話学校に通ったのが英語学習の始まりです。ドイツでは、聞く、しゃべるについてはそれまでに比べて一段階上がれたと感じました

堀 私は、最初は仕事での選択肢を増やすためという目的が大きかったですね。新卒の入社式翌日にTOEIC受験が必須だったのですが、新入社員のスコアは200点から900点まで幅があって、私は600点くらい。5年ほどMRを経験した後、マーケティングの仕事に興味があって異動希望を出しました。その際に求められた条件の一つが TOEIC の点数。英語が最低限はできそうだからということで面接のチャンスがもらえて希望がかない、英語でのコミュニケーションやプレゼンの機会も与えられるようになったので、ここぞというときは頑張ろうと思うようになりました。苦手だと思いながらやり過ごしているのでは、いつまでも状況が変わらないですからね

―― 皆さんがどのように英語を勉強してこられたのか、詳しく聞かせてください。

<次のページからの内容>
● 会話力強化のため、毎朝5時に起きてオンライン英会話
● 通勤時間にスマホアプリで勉強。細く長く続けることを意識
● 「苦手なことでも逃げずに頑張る」姿勢を子どもに伝えられた
● その時々の目標に合わせて、必要な勉強は何かを考える
● 「なるべく発言しない」から、「どんどん前に出ていこう」へ変化
● 英語は世界を広げるツール。人生の豊かさにもつながる