まだ、多くの職場に残る「休みを取りづらい」「定時に帰りづらい」という風潮。「日経ウーマンオンライン」と共働き読者が多い「日経DUAL」の共同企画では、「しっかり『休み』、早く『帰る』ための方法」を読者アンケートと識者に徹底取材しました。第3回はベストセラー「『仕事が速い人』と『仕事が遅い人』の習慣」(明日香出版社)の著者・山本憲明さんの直伝スキルから厳選した実践しやすい10のコツをお伝えします。

【日経ウーマンオンライン×日経DUAL 共同企画】
(1)なぜ私たちは上手に「休む」「定時退社」できないのか(日経ウーマンオンライン無料会員限定)
(2)会社で地道に実践「定時退社&確実に休む」読者工夫(日経DUAL有料会員限定)
(3)仕事が速い人は何が違う? 定時退社できる10の習慣(日経DUAL有料会員限定) ←今回はココ
(4)職場にも貢献「帰る&休む」が上手な読者のワザ公開(日経DUAL有料会員限定)
(5)グーグル流・高速仕事術を徹底解剖 5つのポイント(日経DUAL有料会員限定)
(6)定時退社が上手な会社の社員が「あえてやらない」こと(日経ウーマンオンライン無料会員限定)

今日から取り入れたい!「早く帰る」&「しっかり休む」に効果的なワザ10

 日経ウーマンオンラインで実施した働く女性を対象にした読者アンケート(平均年齢38.7歳。独身52.3%、既婚子あり27.6%。会社員/一般58.7%、会社員/管理職12.7%)では、「早帰り&しっかり休み」を取るために、

  • 2時間以上前に出社する
  • 定時で帰る人というイメージを定着させる
  • 17時以降の新規発注に関しては手を着けずに翌日に回す
  • 他の先輩が休んだときにフォロー役を買って出れば、自分のときも心置きなく休める
  • 3カ月以上前から「休みます宣言」をする

 など、各自が工夫をしていることが分かりました。

 ただ、「なぜ私たちは上手に『休む』『定時退社』できないのか」の記事で紹介した、ひんしゅくを買う帰り方・休み方についての本音を見ていると、自己中心的に仕事を回して早く帰ったり休んだりできても、周囲の信頼は得られません。あくまで、自分の仕事に責任を持って取り組み、効率よく、きちんと仕上げることが大前提なのです。自分の働き方も向上させながら、チーム・職場全体の改善につながる働きかけができるようになりたいですよね。

 そこで今回は、会社員時代に仕事を効率化することで定時退社を可能にし、税理士試験や気象予報士試験に短期間で合格した経験を持つ山本憲明さんに、今日から実践しやすい具体的な10の習慣を教えてもらいました。一つ一つ試していけば、きっとあなたの仕事スタイルが変わります。

【習慣1.仕事が速い人は、マニュアルに頼る】

 仕事を素早くさばくには、マニュアルよりも経験値が必要だと思っている人が多いのではないでしょうか。でも、山本さんは「マニュアルに頼ることが大事」と言います。「マニュアルは、仕事を進める手順を書いたもの。だからマニュアルがあれば、迷いなく仕事を進められる。一方で、仕事が遅い人は経験や勘に頼る傾向があります」

 「特に何度も繰り返すようなルーティン仕事や、一定の時期に定期的にする仕事は、マニュアルやチェックリストを作っておくことがおすすめです。

仕事が速い人はマニュアルに頼り、仕事が遅い人は勘に頼る
仕事が速い人はマニュアルに頼り、仕事が遅い人は勘に頼る

 例えば、年に一度しかないけど、いつもやる作業は同じという仕事の場合、前回から時間がたっているので、その手順を思い出すだけでも大変です。経験や記憶に頼るとミスが生じる場合も。ミスをすると、仕事のリズムは確実に狂います。

 マニュアルやチェックシートを一度作っておけば、アップデートしながら半永久的に使え、格段に仕事が速くなります。また、他の人とも共有することができるため、仕事の引き継ぎやチーム仕事にも有効です」

 では、どんなマニュアルやチェックシートをどうやってつくるか。次ページ以降では、マニュアルのつくり方の詳細、そして、「仕事が速い人の10の習慣」について引き続き、具体的に紹介します。

<次のページからの内容>
● 仕事が速い人は、「仕事になかなか取り掛からない」なぜ?
● 仕事が遅い人は素直、仕事が速い人は人の言うことを聞かない
● 周りに合わせないことが、結果的に周りのためになることもある
● 仕事のスピードを上げるなら、「満腹を避けるべし
● 「集中して取り組める環境」はどうやってつくるか
● 賛否両論あるSNSの仕事利用 ポジティブ活用で時短実現
● 仕事が速い人の「やらないことリスト」とは?