本連載のタイトルは「作家が育児書を1000冊読んで、わかったこと」となっていますが、いわゆる育児書らしい本に限らず、発達心理学、生物学、社会学、経済学など、どんな分野でも育児に関してのヒントはありますので、子育ての役に立った本はすべて含めています。

 本に書いてあることをすべて信じる必要はありません。

 むしろ、自分の考えとは異なる主張に対して「それはどうなん?」「ほんまかな?」「いや、それはあかんやろ!」などと心のなかでとツッコミを入れながら読むことで、自分が本当に求めている「子どもとの関わり方」が浮かび上がってくるのではないかという気がします。

 このエッセーを始める以前、私は『PHPのびのび子育て』という雑誌で「子育てと食に関するエッセイ」を連載していました。

 ちょうど息子が幼稚園の頃だったので、毎号、息子と一緒に読んでいたのです。一般的に子どもへの読み聞かせというと絵本などが多いと思いますが、私は育児雑誌や育児書も読み聞かせに使っていました。

 育児雑誌には「あなたのお子さんはなにタイプ?」みたいなチャートがたまに載っています。質問に答えていくと、子どものタイプが分かって、そのタイプの子にあった声のかけ方などをアドバイスしてくれるのです。その質問に答えるのも息子は楽しんでいました。

 結果、息子は育児書や育児雑誌の内容に詳しくなり、朝から急いでほしいときに、つい、私が「早く!」と言ってしまうと、息子に「早く、じゃなくて、何分になったら家を出るよ、って優しく声かけするのが、にこにこママだよ」なんてアドバイスされたことも……。

 どんな育児書がいいかは、子どもに読み聞かせてみて、その反応を見るというのも、ひとつの手かもしれません

 まずは、自分を知ること。
 そして、子どもを観察すること。
 それから、たくさん読みまくること。

 そうすれば、きっと、自分にぴったりの育児書と出合えると思います。