私が育児に関する本を読み続けているのも、同じことでしょう。

 子育てをするうえでの「心の健康」を保つために、こまめに育児に関する本を読んで、知識を摂取しているのです

 そう考えると、健康促進のために、乳酸菌を必要とする人もいれば必要としない人もいて、育児書を必要とする人もいれば必要としない人もいて、まさにそれぞれだなあ……という気がしてきます。

 そして、人の腸内フローラが多種多様で、乳酸菌にも合う合わないがあるように、育児書もその人の心の状態や環境に合わせて「足りないものを補っていく」というスタンスがいいんじゃないかな、と思うのです。

 『孫ができたら読む本』(著:宮本まき子、PHP研究所 ※現在は品切れ・重版未定)には、こんな一節がありました。

 熟年世代の役割は、気力が充実している間にせっせと孫に関わることでしょう。親たちのタイプをよく見極めて、彼らが口うるさいタイプであれば自分たちは孫の「ガス抜き」の役割をして甘えさせ、逆に親が甘やかすタイプならバリバリと叱り飛ばす役割を引き受けます。(『孫ができたら読む本』190ページより引用)

 この本はちょっと変わった切り口の育児書で、祖父母の世代に向けて書かれているのです。

 子育ての悩みと一口に言っても、その原因となるものはさまざまです。子どもとの関係だけでなく、周囲から視線……、自分の親、もしくは配偶者の親との関係で、気になることが出てきたりもするのではないかと思います。そんなときに、あえて祖父母世代向けの育児書を読むことで、その年代の人間への理解が深まって、対策も見つけられます。

 現実において子育てに関わってくる祖父母が、ここに書かれているように役割分担をしてくれるという人は、幸運でしょう。

 しかし、そのような人間が身近にいなくても、育児書のなかに見つけることはできると思います。

 もし、自分が子どもに「甘い」タイプだと思えば、育児書を読んで、逆の立場からの厳しい意見を知ることで、子育ての幅は広がります。

 あるいは、自分が子どもに「厳しい」ときは、育児書のなかに「もっと甘えさせてあげましょう」というようなアドバイスを見つけて、バランスを取ることもできます。

 ひとつの情報にふりまわされないためには、量をこなして「いろいろな考え方がある」ことを知ることが大切ではないかと思うのです。