日経DUALで今年2月まで4年間連載し、思わずクスッとしてしまうゆるさで人気を博した「パンダ親父」。その著者の岡山進矢さんと、同じく今年3月まで「健気なボクと毛無毛なパパ」を連載していたエイイチさんの「パパマンガ家対談」を開催します。連載のきっかけやこぼれ話、フリーランス共働きパパならではの苦労話、子育てや妻との関係などについて、ざっくばらんに話し合ってもらいました。

第3回は「自分以外のパパマンガ」について。連載中は他のマンガを極力読まないようにしていたという二人。しかし、互いに意外なところをリスペクトしていることも分かりました。

子どもに感動した瞬間を切り取って描く

エイイチさん(イラスト)
エイイチさん(イラスト)

日経DUAL編集部(以下、――) お二人は連載が重なっている期間も長かったですが、同じパパ漫画家同士、お互いのマンガを読んで、どんな感想を持たれていましたか?

エイイチさん(以下、エイイチ) 他の人のマンガを読むと影響を受けてしまうと思っていたので、連載中は意識的にパパマンガを読まないようにしていたのですが、『パンダ親父』だけはついつい読んでしまっていました。四コママンガだから必要最低限の言葉しか使っていないのに、すごく読みやすいなと思っていましたね。オチが「ヨーヨーをヌンチャクにしてるパンダ親父の後ろ姿」だったりして、その絶妙なセンスがたまらなかったです。

岡山進矢さん(以下、岡山) オチの説明をしたくないとか、文字をちょっとでも減らしたいとか、理由はあるんですけど……結局、10人の人が読んでいるとして、その10人全員に分かってもらえなくてもいいというような、変な癖があるんですよ。本当に悪い癖だと思いますが(苦笑)。

「ヨーヨー」の回。オチが秀逸です
「ヨーヨー」の回。オチが秀逸です

 エイイチさんのマンガは、連載が始まったときから気になって読んでいて、内心『こういうのが描きたい!』と思っていました。それで、「これは読んじゃダメだ」と思って、自分の連載が終わってから、安心してすべて読ませていただきました(笑)。

 僕には読者のシンパシーを得ようとする部分が欠けているので、エイイチさんのマンガは共感力がすごいなと思っていました。

エイイチ そう言われると照れますね(笑)。意識して共感を取りにいったつもりはないんですが、できるだけ感動している最中に描かないと鮮度が薄れてしまう、という思いはありました。初めて息子が「あー」ってしゃべったときの絵は、やっぱりそのときに描いたほうがかわいく描ける。もし、次に「あい」って言葉をしゃべったら、そっちのほうに感動してしまうので、そうしたら多分「あー」としゃべったときの絵を描けなくなってしまうと思ったんです。

 だから、極力「これ、描きたい!」と思ったときは、すぐにスマホにメモして、場合によっては色も塗らないでとりあえず描いてSNSにアップしていました。その中で反応が良かったものをチョイスして、日経DUALに掲載していましたね。共感力があると思っていただけたのは、そのおかげかも。